BUMP OF CHIKEN TOUR DIARY



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『車輪の唄』
TFCC-89121
発売日:2004/12/01
価格:¥1,050(税込)
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『ユグドラシル』
TFBQ-18053
発売日:2004/12/01
価格:¥3,000(税込)
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メンバーから「車輪の唄(Single Edit)」についてのビデオコメントが到着!
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TOUR REPORT【幕張メッセ2days編】
 9月から始まったツアー『MY PEGASUS』を、11/20の沖縄公演をもって完走したBUMP OF CHICKEN。去る12/11.12の2日間、「幕張メッセ展示場ホール9.10.11」にてツアーファイナル『PEGASUS YOU』をおこないました。1日15000人、2日間で30000人を動員した、BUMP OF CHICKENにとっては過去最多動員のワンマンライブになりました。
 1日目当日は、さい先良い晴天。前日のリハーサル後、そのまま幕張メッセ近くのホテルに宿泊したメンバーは14時頃に会場入りしました。前日のゲネプロも含めていたってリラックスムードのメンバー。幕張メッセの楽屋でも、ツアー中のそれと変わらないリラックスした時間が流れます。ファンから手渡された手紙を読んだりグッズを物色したり、差し入れをつまみ食いしたり・・・。この幕張でのライブは2日間とも楽屋に敏腕マッサージ師が常務してくれており、メンバーは交代でマッサージを受けて恍惚としていました。
 この日、ホテルで目覚めた“藤原”はにわかに脇腹に痛みを感じ、「何でこんな日に腹が痛くなるんだよぉ!!」と嘆き苦しんだそうです。その痛みを盲腸と判断した“藤原”がとった行動は、携帯のi-modeを使って盲腸を調べたそうなのです。対処方法や症状の詳細が知りたかったにもかかわらず検索されるのは盲腸という文字が入った個人の闘病日記などの関係ない情報ばかり・・・。さい先悪い目覚めだったようですが、会場入りする頃にはすっかり痛みもひき万全の状態でライブに臨めたのでした。
 幕張メッセには開場前から物販グッズなどを求めてたくさんのお客さんが駆け付けています。開場1時間前にもなると、エントランスの前にお客さんの長蛇の列ができていました。この『PEGASUS YOU』限定の物販グッズが“チャマ”によってデザインされました。その種類も豊富で、Tシャツ、ウィンドブレーカー、バスタオル(これらには、幕張=千葉ってこともあり千葉県の地形がモチーフとなったグラフィックがデザインされていました)、肩掛け用ポーチ、携帯ストラップ etc… ファンにはたまらない“バンプ”グッズの数々が揃えられていました。
 午後6時過ぎ。いよいよ開演が近付き、会場を埋め尽くした15000人のお客さんもざわめき立ちます。そして会場が暗転。いつもの THE WHOの「クイック・ワン」が流れます。オレンジ色の照明の中にメンバーのシルエットが登場すると、場内から地鳴りのような大歓声が沸き起こります。いよいよメンバーがステージに登場、TOUR FINAL『PEGASUS YOU』の1日目のステージが始まります!! 1曲目は「オンリー ロンリー グローリー」。“藤原”の「ウォー!!」という掛け声にのって“増川”がイントロのギターを掻きむしると場内が明転、まさに怒濤のようにライブが開始されました。 2曲目の「天体観測」のイントロが流れると場内からは更に大きな歓声が上がります。このツアーを通じて更に演奏力/表現力に磨きがかかった「天体観測」は、“バンプ”の代名詞的なヒット曲という枠を超えて会場のお客さんの感動を誘っていました。そして息つく暇もなく「sailing day」の演奏に突入します。この3曲ですでに会場のテンションは最高潮。たくさんのお客さんがエリア外に溢れ出し運び出される程です。そして、4曲目の「車輪の唄」の前奏が奏でられると同時に、ステージ上方から吊るされていた縦長長方形の4枚のビジョンに、それぞれメンバー一人ずつが大きく映し出されました。この演出にさらに大きな歓声が上がる場内。向かって左側のビジョンには気持ち良さそうにベースを爪弾く“チャマ”が、その隣りのビジョンには子気味良くタイトにリズムを刻む“升”が、その隣りには目をつむりながら、激しくも愛おしそうに言葉を紡ぎ歌う“藤原”が、そして向かって右側のビジョンには顔をしかめながら必死にギターをバッキングする“増川”が映し出されています。
 セピア色に映し出されたメンバーに見入る観客。幕張メッセならではの演出にお客さんも酔いしれていました。そして演奏は、ファーストアルバム『FLAME VEIN』に収録されている名曲「くだらない唄」「ノーヒットノーラン」と続きます。既に5年前に発表されている初期の曲にもかかわらず、この幕張のステージでも瑞々しさと輝きを放ちながら奏でられていました。そして「ギルド」。8月にリリースされたニューアルバム『ユグドラシ』に収録されているこの曲はアルバムでも非常に人気が高いナンバー。イントロのギターリフが流れると更に場内がどよめき立ちました。時折その歌詞をライブ用に変えて歌う“藤原”。ライブならではの感情が、本来の歌詞をよりドラマティックに変えて歌わせるのかも知れません。そして、これも初期の名曲「リトルブレイバー」です。これは『MY PEGASUS』でも演奏され続けた曲ですが、イントロのアルペジオギターの演奏に入る前に、“藤原”特有の切なくも美しいコード感でギターが奏でられるライブバージョンでの曲入りでした。「リトルブレイバー」演奏終了後、ステージ中央にフロント3人が集まってカウントをとります。このツアーでバンドグルーブが増し、より一層曲の表現力に磨きがかかって歌詞の持つ壮大さと切実さと美しさをダイナミックに伝えることができるようになった名曲「Ever lasting lie」の演奏です。間奏の“増川”の掻きむしるようなギタープレイに、15000人のお客さんの心が揺さぶられたに違いありません。 そして“藤原”の「新曲やります!」とうMCの後に、12/1にリリースされたシングル「車輪の唄」のカップリングに収録されたナンバー「夢の飼い主」が演奏されました。Final 『PEGASUS YOU』で初めて演奏されたこの曲ですが、ライブならではのバンドグルーブを以てよりダイレクトに熱く響く「夢の飼い主」として演奏されていました。
 演奏終了後、“チャマ”が恥ずかしそうにこうMCしました。「面白い話しを聞かせてあげるね。俺ね、10年くらい前にここ幕張でコックの見習いの仕事をしてたの。ちょうどこの会場からすぐ近くのイタリア料理屋さんでね。そんでね、そん時にホントお世話になった厨房のチーフが今日のステージを観に来てくれてんだよね。俺ホントに嬉しくて恥ずかしくて・・・。チーフ!有り難うございます!!」。このMCに場内から大きな拍手が起こりました。続いて、アップテンポなナンバー「乗車権」と「K」が立て続けに演奏されると場内は再びヒートアップ!無数の拳が掲げられます。そしてBUMP OF CHICKENのメジャーデビュー曲「ダイヤモンド」では、サビの「一つだけ一つだけ〜」という歌詞に合わせて、人差し指を突き上げた拳が高く力強く振り上げられていました。次に演奏されたのは『ユグドラシル』に収録されたナンバー「同じドアをくぐれたら」です。32本をまわりきったツアーで、その後奏でアドリブのジャムグルーブを演奏するようになったこの曲。この日の演奏でも、深く重い演奏でライブバージョンとしての「同じドア〜」を奏でていました。そして、“藤原”がファンには見慣れないアコースティックギターに持ち替えます。そして、手グセの美しいアルぺジオを爪弾いた後、降り始めの雪が一粒ずつ肩に落ちる様を思わせるような、美しく切ないイントロが爪弾かれます。そう、冬のスタンダード「スノースマイル」の演奏です。青を基調とした美しい照明が曲の世界観をよりロマンティックに演出し、会場全体が「スノースマイル」の美しくも切ない情景で塗り詰められた瞬間でした。そして、本編最後の曲は「fire sign」です。ツアーと同様、ブレイクでは全ての照明が照らされて、「ナァ〜ナァ〜!ナナナナナナァ〜ナァ〜!」という大合唱が会場全体を津波のように包み込んでいました。 本編終了後は、これも地鳴りのような手拍子と「アンコール」の大合唱が会場に響き渡ります。再びメンバーがステージに登場するまでは決して鳴り止みそうもない地鳴りです。そしてステージが明転。この大合唱におされて再びメンバーがステージに登場しました。それぞれお気に入りの色のツアーTシャツに着替えての再登場です。“藤原”は、お得意のTシャツのリメイクを怠ってしまったらしく、「首もとが苦しい!!」とTシャツの襟を引っ張って顔をしかめていました。「アンコール有り難う!!歌わせてもらいます!!」。“藤原”の掛け声とともにたおやかなアルペジオが奏でられ「embrace」が演奏されました。この曲だけはほとんどギターを弾かずに、ポケットに両手を突っ込んだりマイクスタンドを握りしめたりする仕草でボーカルに専念して歌い上げる“藤原”。ビジョンに映し出されるその姿が、より凛々しく見える演奏でした。そして1日目ラストに演奏されたのは「ダンデライオン」でした。“藤原”が弾くコミカルかつ軽快なイントロ・ギターリフに合わせて15000人のお客さんがリズミックに飛び上がっていました。
 1日目の『PEGASUS YOU』のステージは、緊張感の中にもたくさんのドラマがちりばめられた情熱的、感動的なライブになりました。ライブ終了後、楽屋でこの日の演奏の反省点を確認し合うメンバー。翌日の2日目のステージへの課題を残しつつも、初の幕張メッセでのワンマンライブを無事に終えた充実感を噛みしめているようでした。その日の打ち上げは、会場から車で10分程走ったところにある焼き肉屋さんにておこなわれました。ツアーの時と同様に「梅干し入りお湯」を特別注文する“藤原”。同時に、翌日のライブに備えて喉を温存した“一言も喋らない療法”を実行していました。いよいよ翌日は、年内国内では最後のライブになります。打ち上げ後は、4人とも会場近くのホテルに戻ってゆっくりと休養をとったようでした。

 迎えた翌日は最終後公演日。この日も、淡々とした時間が楽屋に流れます。その静寂を打ち破るかのように楽屋に押し寄せたのは“チャマ”家族一行です。ご両親、おじいちゃん、おばあちゃん、お姉さん・・・。“チャマ”一家総動員でライブを観に来てくれたようです。しかも、“マモル”お父さんは、『ユグドラシル』の歌詞カード面をモチーフにした飴細工がデコレートされた特大ショートケーキの差し入れを持って来てくれたのです。これには、メンバー、スタッフともに大喜び。ライブ終了後この感慨深いケーキの美味を堪能させてもらったのです。
 この日は最終公演日ということもあり、開場前の、お客さんの入っていない会場にてBUMP OF CHICKENメンバー4人&全てのスタッフによる全員ショット記念撮影がおこなわれました。
 2日目の幕張公演にも、前日同様15000人のファンが詰めかけました。この日はあいにくの雨模様。気温もぐっと下がって肌寒い天気でした。それでも、幕張メッセの会場内は熱気でムンムン。大ステージでのBUMP OF CHICKENの演奏を楽しみにして来たファンがギュウギュウにひしめき合っていました。いよいよ開演の時間です。1日目同様、THE WHOの「クイック・ワン」のSEにのってメンバーがステージに登場すると、会場が雄叫びにも似た大きな歓声で包まれます。そして「オンリー ロンリー グローリー」のイントロが激しくかき鳴らされ、いよいよ最終公演『PEGASUS YOU』2日目のライブがスタートしました。この日の2曲目は、アルバム『jupiter』の1曲目に収録された力強いナンバー「stage of the ground」が演奏されました。“升”のドラムソロから入るライブバージョンでの演奏でしたが、ドラムの力強いリズムにのせて「オイッ!オイッ!」という掛け声が会場に沸き上がっていました。3曲目は「天体観測」です。この日は、この「天体観測」のオープニングと同時にステージ後ろの大ビジョンにメンバーの姿が映し出されました。ヒット曲「天体観測」のイントロにのってメンバーのビジュアルが大きく映し出されると、場内からは更に大きな歓声が上がります。青を基調とした照明に照らし出される「天体観測」の世界観に、会場内の全ての人が酔いしれているように見えました。演奏終了後、早くも“チャマ”が喋ります。「そうだよ!これがライブだよ!!今日はホントに最高だ!どんどん演奏するよ」。そして「ギルド」のイントロが流れます。この日の「ギルド」もライブならではの歌詞に変えて熱唱されていました。続いて、1日目に続きライブバージョンのギター演奏の後に「リトルブレイバー」が演奏されました。途中、「全身全霊の力をリトルブレイバー」という歌詞を、「君にとってその拳(て)がリトルブレイバー」と歌詞がアレンジされて歌われると、より多くの拳が突き上げられていました。そして“藤原”がMCします。「ホントに楽しく歌わせてもらってます。有り難う!!会場全体が見えます。後ろの方の人も手を上げてくれよ!そしたらしっかり見えるんだ!どんどん歌うからしっかり聴いててくれよ。そんで、もし気分が悪くなったら迷わず後ろに避難してくれよ。どこにいても俺等の演奏は届くはずだから。気を失って演奏が聴けなかったってのだけは避けて欲しい。宜しくな!!」。 続いて、これもライブバージョンのジャムセッションでのエンディングがドラマティックな「同じドアをくぐれたら」、そして、BUMP OF CHICKENの初シングル曲「ランプ」が演奏されました。演奏終了後、“藤原”が“増川”を指差して言いました。「“増川”が喋ります!」。不意をつかれてたじろぐ“増川”。「“増川”は昨日の夜から喋ることを考えてたんです。俺の部屋に来て打ち合わせたくらいだから・・・」。どこまで本当かわからない“藤原”の急なMCのフリにすっかり面食らった様子の“増川”でしたが、しどろもどろにMCを始めました。「ホントに有り難う・・・。しかし、よく来たよね!こんなにたくさん!」。MCというよりは、思ったことをそのまま言った感の強い喋りでしたが、会場にはそんな“増川”を愛おしむような笑いが起こっていました。「どんどん演奏するよ。聴いて下さい!!」“増川”の仕切り直しのソリッドなギターアルペジオとともに「乗車権」が演奏されると、会場が再び大きく波打ちます。続いてこれもアップテンポのナンバー「K」の演奏です。ツアー中も、この2曲が立て続けに演奏されると会場内のテンションはいつも最高潮を迎えおり、この日の幕張もそんな最高潮の盛り上がりを見せていました。そして、今回のツアーも含めた全てのライブで、中盤の会場とステージの一体感をマックスで演出し続けてくれた「ダイヤモンド」が演奏されます。この日の「ダイヤモンド」での“藤原”のボーカルは、いつにも増して鬼気迫る迫真の歌声を響かせていました。演奏終了後、“藤原”がやさしくMCしました。「今日でツアーが終わります。この場を借りてお礼を言わせて下さい。このツアーに携わってくれた全てのスタッフ、俺等を盛り上げてくれた家族や友人、そして俺等と一緒にライブをつくりあげてくれた君らお客さんに!!」「そんで、感謝の気持ちを込めて歌います。“embrace”!!」。 そのMCの後に歌われた「embrace」は、より優しく、よりドラマティックに心に響いた気がしました。この日の“藤原”は、想いの多さが言葉になって溢れでてくるようでした。「あぁ・・・。最高だよ。ずっとここで歌ってたいよ。でも、あと2曲になっちまった・・・。ホントに心を込めて歌うよ!!」。溢れる感情を全て歌に詰め込んだ「ハルジオン」の演奏に、会場全体が呼応するかのように更なる一体感を煽っていました。そして本編最後には、「ロストマン」がドラマティックに壮大に演奏されました。1日目同様、地鳴りのような手拍子と「アンコール」の大合唱が会場を包み込みます。メンバーが再登場するまでは、本当に永遠に止むことのないような地鳴り・・・。1日目よりは時間がかかってメンバーがステージに再登場すると、更なる大歓声が沸き起こりました。この日のアンコール1曲目は「スノースマイル」でした。晩夏から始まった今回のツアー。ファイナルのこの日、「スノースマイル」はその季節感もピッタリに演奏されていたのを考えると、季節をまたいで駆け抜けた今回のツアーの長さを実感した「スノースマイル」の演奏だったのです。そして、“チャマ”が感慨深げに喋りました。「このツアーで色んなところで演奏したよ。同じメンバーで同じスタッフで全国をまわったんだけど、どれも全然違ったライブだった。その時その場所でしかできないライブをやってきたんだ。そして今日の最終日。このステージに立って、改めてここで演奏できる奇跡と幸運に感謝してます。ホントに有り難う!!」。続いて“藤原”もMCしました。「ホントに有り難う。俺も、このステージに立てることにホントに感謝してる。そして君らに感謝してます。もう一曲歌わせて下さい。そんで、君らの声も響かせて下さい!」。そうして演奏されたこのツアー最後の「fire sign」でも、この瞬間を共にでき、この瞬間を共に歌える奇跡を噛みしめるかのような大合唱が会場にこだましていました。そして演奏終了後、“藤原”が最後の力をふり絞るように喋りました。「もう声がでないよ。でも、あと1曲だけ歌わせて欲しい・・・。俺、このツアーでわかったことがあるんだよ。俺の歌を聴きたいって人が目の前にいてくれたら歌えるってことを・・・。君らが俺の歌を望んでくれたら歌えるってことを!最後に一呼吸分の力でいいから俺に分けて下さい。そしたら俺は歌えるんです!!」。会場全てのお客さんからもらった「一呼吸分」の力とともに演奏されたツアー最後の曲「ガラスのブルース」は、BUMP OF CHICKEN(弱者の反撃)が誠実に命がけで音楽と向き合ってきた軌跡を讃えるかのように力強く会場全体に鳴り響いていました。全ての演奏が終了し、メンバーが楽屋へと戻って行きます。誰もいなくなったステージに向けて、会場全体から惜しみない拍手が贈られていました。
 全国32公演をまわったツアー『MY PEGASUS』、そして、初の30000人規模のワンマンライブとなったツアー・ファイナル『PEGASUS YOU』。場所も規模も、集まった観客も全て違った一つ一つのライブで、一曲一曲を誠実に大切に演奏し続けて来たBUMP OF CHICKEN。BUMP OF CHICKENの音楽と、それを聴いて何かを感じたリスナーとの一対一の真摯な関係が無限に広がっていく限り、数十万、数百万の個人的なドラマと感動がそれぞれのリスナーの現実の中で生まれ育まれていくことでしょう。
by bumptour | 2005-01-21 20:43
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 9月から始まったツアー『MY PEGASUS』を、11/20の沖縄公演をもって完走したBUMP OF CHICKEN。去る12/11.12の2日間、「幕張メッセ展示場ホール9.10.11」にてツアーファイナル『PEGASUS YOU』をおこないました。1日15000人、2日間で30000人を動員した、BUMP OF CHICKENにとっては過去最多動員のワンマンライブになりました。
 1日目当日は、さい先良い晴天。前日のリハーサル後、そのまま幕張メッセ近くのホテルに宿泊したメンバーは14時頃に会場入りしました。前日のゲネプロも含めていたってリラックスムードのメンバー。幕張メッセの楽屋でも、ツアー中のそれと変わらないリラックスした時間が流れます。ファンから手渡された手紙を読んだりグッズを物色したり、差し入れをつまみ食いしたり・・・。この幕張でのライブは2日間とも楽屋に敏腕マッサージ師が常務してくれており、メンバーは交代でマッサージを受けて恍惚としていました。
 この日、ホテルで目覚めた“藤原”はにわかに脇腹に痛みを感じ、「何でこんな日に腹が痛くなるんだよぉ!!」と嘆き苦しんだそうです。その痛みを盲腸と判断した“藤原”がとった行動は、携帯のi-modeを使って盲腸を調べたそうなのです。対処方法や症状の詳細が知りたかったにもかかわらず検索されるのは盲腸という文字が入った個人の闘病日記などの関係ない情報ばかり・・・。さい先悪い目覚めだったようですが、会場入りする頃にはすっかり痛みもひき万全の状態でライブに臨めたのでした。
 幕張メッセには開場前から物販グッズなどを求めてたくさんのお客さんが駆け付けています。開場1時間前にもなると、エントランスの前にお客さんの長蛇の列ができていました。この『PEGASUS YOU』限定の物販グッズが“チャマ”によってデザインされました。その種類も豊富で、Tシャツ、ウィンドブレーカー、バスタオル(これらには、幕張=千葉ってこともあり千葉県の地形がモチーフとなったグラフィックがデザインされていました)、肩掛け用ポーチ、携帯ストラップ etc… ファンにはたまらない“バンプ”グッズの数々が揃えられていました。
 午後6時過ぎ。いよいよ開演が近付き、会場を埋め尽くした15000人のお客さんもざわめき立ちます。そして会場が暗転。いつもの THE WHOの「クイック・ワン」が流れます。オレンジ色の照明の中にメンバーのシルエットが登場すると、場内から地鳴りのような大歓声が沸き起こります。いよいよメンバーがステージに登場、TOUR FINAL『PEGASUS YOU』の1日目のステージが始まります!! 1曲目は「オンリー ロンリー グローリー」。“藤原”の「ウォー!!」という掛け声にのって“増川”がイントロのギターを掻きむしると場内が明転、まさに怒濤のようにライブが開始されました。 2曲目の「天体観測」のイントロが流れると場内からは更に大きな歓声が上がります。このツアーを通じて更に演奏力/表現力に磨きがかかった「天体観測」は、“バンプ”の代名詞的なヒット曲という枠を超えて会場のお客さんの感動を誘っていました。そして息つく暇もなく「sailing day」の演奏に突入します。この3曲ですでに会場のテンションは最高潮。たくさんのお客さんがエリア外に溢れ出し運び出される程です。そして、4曲目の「車輪の唄」の前奏が奏でられると同時に、ステージ上方から吊るされていた縦長長方形の4枚のビジョンに、それぞれメンバー一人ずつが大きく映し出されました。この演出にさらに大きな歓声が上がる場内。向かって左側のビジョンには気持ち良さそうにベースを爪弾く“チャマ”が、その隣りのビジョンには子気味良くタイトにリズムを刻む“升”が、その隣りには目をつむりながら、激しくも愛おしそうに言葉を紡ぎ歌う“藤原”が、そして向かって右側のビジョンには顔をしかめながら必死にギターをバッキングする“増川”が映し出されています。
 セピア色に映し出されたメンバーに見入る観客。幕張メッセならではの演出にお客さんも酔いしれていました。そして演奏は、ファーストアルバム『FLAME VEIN』に収録されている名曲「くだらない唄」「ノーヒットノーラン」と続きます。既に5年前に発表されている初期の曲にもかかわらず、この幕張のステージでも瑞々しさと輝きを放ちながら奏でられていました。そして「ギルド」。8月にリリースされたニューアルバム『ユグドラシ』に収録されているこの曲はアルバムでも非常に人気が高いナンバー。イントロのギターリフが流れると更に場内がどよめき立ちました。時折その歌詞をライブ用に変えて歌う“藤原”。ライブならではの感情が、本来の歌詞をよりドラマティックに変えて歌わせるのかも知れません。そして、これも初期の名曲「リトルブレイバー」です。これは『MY PEGASUS』でも演奏され続けた曲ですが、イントロのアルペジオギターの演奏に入る前に、“藤原”特有の切なくも美しいコード感でギターが奏でられるライブバージョンでの曲入りでした。「リトルブレイバー」演奏終了後、ステージ中央にフロント3人が集まってカウントをとります。このツアーでバンドグルーブが増し、より一層曲の表現力に磨きがかかって歌詞の持つ壮大さと切実さと美しさをダイナミックに伝えることができるようになった名曲「Ever lasting lie」の演奏です。間奏の“増川”の掻きむしるようなギタープレイに、15000人のお客さんの心が揺さぶられたに違いありません。 そして“藤原”の「新曲やります!」とうMCの後に、12/1にリリースされたシングル「車輪の唄」のカップリングに収録されたナンバー「夢の飼い主」が演奏されました。Final 『PEGASUS YOU』で初めて演奏されたこの曲ですが、ライブならではのバンドグルーブを以てよりダイレクトに熱く響く「夢の飼い主」として演奏されていました。
 演奏終了後、“チャマ”が恥ずかしそうにこうMCしました。「面白い話しを聞かせてあげるね。俺ね、10年くらい前にここ幕張でコックの見習いの仕事をしてたの。ちょうどこの会場からすぐ近くのイタリア料理屋さんでね。そんでね、そん時にホントお世話になった厨房のチーフが今日のステージを観に来てくれてんだよね。俺ホントに嬉しくて恥ずかしくて・・・。チーフ!有り難うございます!!」。このMCに場内から大きな拍手が起こりました。続いて、アップテンポなナンバー「乗車権」と「K」が立て続けに演奏されると場内は再びヒートアップ!無数の拳が掲げられます。そしてBUMP OF CHICKENのメジャーデビュー曲「ダイヤモンド」では、サビの「一つだけ一つだけ〜」という歌詞に合わせて、人差し指を突き上げた拳が高く力強く振り上げられていました。次に演奏されたのは『ユグドラシル』に収録されたナンバー「同じドアをくぐれたら」です。32本をまわりきったツアーで、その後奏でアドリブのジャムグルーブを演奏するようになったこの曲。この日の演奏でも、深く重い演奏でライブバージョンとしての「同じドア〜」を奏でていました。そして、“藤原”がファンには見慣れないアコースティックギターに持ち替えます。そして、手グセの美しいアルぺジオを爪弾いた後、降り始めの雪が一粒ずつ肩に落ちる様を思わせるような、美しく切ないイントロが爪弾かれます。そう、冬のスタンダード「スノースマイル」の演奏です。青を基調とした美しい照明が曲の世界観をよりロマンティックに演出し、会場全体が「スノースマイル」の美しくも切ない情景で塗り詰められた瞬間でした。そして、本編最後の曲は「fire sign」です。ツアーと同様、ブレイクでは全ての照明が照らされて、「ナァ〜ナァ〜!ナナナナナナァ〜ナァ〜!」という大合唱が会場全体を津波のように包み込んでいました。 本編終了後は、これも地鳴りのような手拍子と「アンコール」の大合唱が会場に響き渡ります。再びメンバーがステージに登場するまでは決して鳴り止みそうもない地鳴りです。そしてステージが明転。この大合唱におされて再びメンバーがステージに登場しました。それぞれお気に入りの色のツアーTシャツに着替えての再登場です。“藤原”は、お得意のTシャツのリメイクを怠ってしまったらしく、「首もとが苦しい!!」とTシャツの襟を引っ張って顔をしかめていました。「アンコール有り難う!!歌わせてもらいます!!」。“藤原”の掛け声とともにたおやかなアルペジオが奏でられ「embrace」が演奏されました。この曲だけはほとんどギターを弾かずに、ポケットに両手を突っ込んだりマイクスタンドを握りしめたりする仕草でボーカルに専念して歌い上げる“藤原”。ビジョンに映し出されるその姿が、より凛々しく見える演奏でした。そして1日目ラストに演奏されたのは「ダンデライオン」でした。“藤原”が弾くコミカルかつ軽快なイントロ・ギターリフに合わせて15000人のお客さんがリズミックに飛び上がっていました。
 1日目の『PEGASUS YOU』のステージは、緊張感の中にもたくさんのドラマがちりばめられた情熱的、感動的なライブになりました。ライブ終了後、楽屋でこの日の演奏の反省点を確認し合うメンバー。翌日の2日目のステージへの課題を残しつつも、初の幕張メッセでのワンマンライブを無事に終えた充実感を噛みしめているようでした。その日の打ち上げは、会場から車で10分程走ったところにある焼き肉屋さんにておこなわれました。ツアーの時と同様に「梅干し入りお湯」を特別注文する“藤原”。同時に、翌日のライブに備えて喉を温存した“一言も喋らない療法”を実行していました。いよいよ翌日は、年内国内では最後のライブになります。打ち上げ後は、4人とも会場近くのホテルに戻ってゆっくりと休養をとったようでした。

 迎えた翌日は最終後公演日。この日も、淡々とした時間が楽屋に流れます。その静寂を打ち破るかのように楽屋に押し寄せたのは“チャマ”家族一行です。ご両親、おじいちゃん、おばあちゃん、お姉さん・・・。“チャマ”一家総動員でライブを観に来てくれたようです。しかも、“マモル”お父さんは、『ユグドラシル』の歌詞カード面をモチーフにした飴細工がデコレートされた特大ショートケーキの差し入れを持って来てくれたのです。これには、メンバー、スタッフともに大喜び。ライブ終了後この感慨深いケーキの美味を堪能させてもらったのです。
 この日は最終公演日ということもあり、開場前の、お客さんの入っていない会場にてBUMP OF CHICKENメンバー4人&全てのスタッフによる全員ショット記念撮影がおこなわれました。
 2日目の幕張公演にも、前日同様15000人のファンが詰めかけました。この日はあいにくの雨模様。気温もぐっと下がって肌寒い天気でした。それでも、幕張メッセの会場内は熱気でムンムン。大ステージでのBUMP OF CHICKENの演奏を楽しみにして来たファンがギュウギュウにひしめき合っていました。いよいよ開演の時間です。1日目同様、THE WHOの「クイック・ワン」のSEにのってメンバーがステージに登場すると、会場が雄叫びにも似た大きな歓声で包まれます。そして「オンリー ロンリー グローリー」のイントロが激しくかき鳴らされ、いよいよ最終公演『PEGASUS YOU』2日目のライブがスタートしました。この日の2曲目は、アルバム『jupiter』の1曲目に収録された力強いナンバー「stage of the ground」が演奏されました。“升”のドラムソロから入るライブバージョンでの演奏でしたが、ドラムの力強いリズムにのせて「オイッ!オイッ!」という掛け声が会場に沸き上がっていました。3曲目は「天体観測」です。この日は、この「天体観測」のオープニングと同時にステージ後ろの大ビジョンにメンバーの姿が映し出されました。ヒット曲「天体観測」のイントロにのってメンバーのビジュアルが大きく映し出されると、場内からは更に大きな歓声が上がります。青を基調とした照明に照らし出される「天体観測」の世界観に、会場内の全ての人が酔いしれているように見えました。演奏終了後、早くも“チャマ”が喋ります。「そうだよ!これがライブだよ!!今日はホントに最高だ!どんどん演奏するよ」。そして「ギルド」のイントロが流れます。この日の「ギルド」もライブならではの歌詞に変えて熱唱されていました。続いて、1日目に続きライブバージョンのギター演奏の後に「リトルブレイバー」が演奏されました。途中、「全身全霊の力をリトルブレイバー」という歌詞を、「君にとってその拳(て)がリトルブレイバー」と歌詞がアレンジされて歌われると、より多くの拳が突き上げられていました。そして“藤原”がMCします。「ホントに楽しく歌わせてもらってます。有り難う!!会場全体が見えます。後ろの方の人も手を上げてくれよ!そしたらしっかり見えるんだ!どんどん歌うからしっかり聴いててくれよ。そんで、もし気分が悪くなったら迷わず後ろに避難してくれよ。どこにいても俺等の演奏は届くはずだから。気を失って演奏が聴けなかったってのだけは避けて欲しい。宜しくな!!」。 続いて、これもライブバージョンのジャムセッションでのエンディングがドラマティックな「同じドアをくぐれたら」、そして、BUMP OF CHICKENの初シングル曲「ランプ」が演奏されました。演奏終了後、“藤原”が“増川”を指差して言いました。「“増川”が喋ります!」。不意をつかれてたじろぐ“増川”。「“増川”は昨日の夜から喋ることを考えてたんです。俺の部屋に来て打ち合わせたくらいだから・・・」。どこまで本当かわからない“藤原”の急なMCのフリにすっかり面食らった様子の“増川”でしたが、しどろもどろにMCを始めました。「ホントに有り難う・・・。しかし、よく来たよね!こんなにたくさん!」。MCというよりは、思ったことをそのまま言った感の強い喋りでしたが、会場にはそんな“増川”を愛おしむような笑いが起こっていました。「どんどん演奏するよ。聴いて下さい!!」“増川”の仕切り直しのソリッドなギターアルペジオとともに「乗車権」が演奏されると、会場が再び大きく波打ちます。続いてこれもアップテンポのナンバー「K」の演奏です。ツアー中も、この2曲が立て続けに演奏されると会場内のテンションはいつも最高潮を迎えおり、この日の幕張もそんな最高潮の盛り上がりを見せていました。そして、今回のツアーも含めた全てのライブで、中盤の会場とステージの一体感をマックスで演出し続けてくれた「ダイヤモンド」が演奏されます。この日の「ダイヤモンド」での“藤原”のボーカルは、いつにも増して鬼気迫る迫真の歌声を響かせていました。演奏終了後、“藤原”がやさしくMCしました。「今日でツアーが終わります。この場を借りてお礼を言わせて下さい。このツアーに携わってくれた全てのスタッフ、俺等を盛り上げてくれた家族や友人、そして俺等と一緒にライブをつくりあげてくれた君らお客さんに!!」「そんで、感謝の気持ちを込めて歌います。“embrace”!!」。 そのMCの後に歌われた「embrace」は、より優しく、よりドラマティックに心に響いた気がしました。この日の“藤原”は、想いの多さが言葉になって溢れでてくるようでした。「あぁ・・・。最高だよ。ずっとここで歌ってたいよ。でも、あと2曲になっちまった・・・。ホントに心を込めて歌うよ!!」。溢れる感情を全て歌に詰め込んだ「ハルジオン」の演奏に、会場全体が呼応するかのように更なる一体感を煽っていました。そして本編最後には、「ロストマン」がドラマティックに壮大に演奏されました。1日目同様、地鳴りのような手拍子と「アンコール」の大合唱が会場を包み込みます。メンバーが再登場するまでは、本当に永遠に止むことのないような地鳴り・・・。1日目よりは時間がかかってメンバーがステージに再登場すると、更なる大歓声が沸き起こりました。この日のアンコール1曲目は「スノースマイル」でした。晩夏から始まった今回のツアー。ファイナルのこの日、「スノースマイル」はその季節感もピッタリに演奏されていたのを考えると、季節をまたいで駆け抜けた今回のツアーの長さを実感した「スノースマイル」の演奏だったのです。そして、“チャマ”が感慨深げに喋りました。「このツアーで色んなところで演奏したよ。同じメンバーで同じスタッフで全国をまわったんだけど、どれも全然違ったライブだった。その時その場所でしかできないライブをやってきたんだ。そして今日の最終日。このステージに立って、改めてここで演奏できる奇跡と幸運に感謝してます。ホントに有り難う!!」。続いて“藤原”もMCしました。「ホントに有り難う。俺も、このステージに立てることにホントに感謝してる。そして君らに感謝してます。もう一曲歌わせて下さい。そんで、君らの声も響かせて下さい!」。そうして演奏されたこのツアー最後の「fire sign」でも、この瞬間を共にでき、この瞬間を共に歌える奇跡を噛みしめるかのような大合唱が会場にこだましていました。そして演奏終了後、“藤原”が最後の力をふり絞るように喋りました。「もう声がでないよ。でも、あと1曲だけ歌わせて欲しい・・・。俺、このツアーでわかったことがあるんだよ。俺の歌を聴きたいって人が目の前にいてくれたら歌えるってことを・・・。君らが俺の歌を望んでくれたら歌えるってことを!最後に一呼吸分の力でいいから俺に分けて下さい。そしたら俺は歌えるんです!!」。会場全てのお客さんからもらった「一呼吸分」の力とともに演奏されたツアー最後の曲「ガラスのブルース」は、BUMP OF CHICKEN(弱者の反撃)が誠実に命がけで音楽と向き合ってきた軌跡を讃えるかのように力強く会場全体に鳴り響いていました。全ての演奏が終了し、メンバーが楽屋へと戻って行きます。誰もいなくなったステージに向けて、会場全体から惜しみない拍手が贈られていました。
 全国32公演をまわったツアー『MY PEGASUS』、そして、初の30000人規模のワンマンライブとなったツアー・ファイナル『PEGASUS YOU』。場所も規模も、集まった観客も全て違った一つ一つのライブで、一曲一曲を誠実に大切に演奏し続けて来たBUMP OF CHICKEN。BUMP OF CHICKENの音楽と、それを聴いて何かを感じたリスナーとの一対一の真摯な関係が無限に広がっていく限り、数十万、数百万の個人的なドラマと感動がそれぞれのリスナーの現実の中で生まれ育まれていくことでしょう。
by bumptour | 2005-01-21 20:43 バンプオブチキンExcite エキサイト: ミュージック: BUMP OF CHICKEN: BUMP OF CHICKEN TOUR DIARY
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 9月から始まったツアー『MY PEGASUS』を、11/20の沖縄公演をもって完走したBUMP OF CHICKEN。去る12/11.12の2日間、「幕張メッセ展示場ホール9.10.11」にてツアーファイナル『PEGASUS YOU』をおこないました。1日15000人、2日間で30000人を動員した、BUMP OF CHICKENにとっては過去最多動員のワンマンライブになりました。
 1日目当日は、さい先良い晴天。前日のリハーサル後、そのまま幕張メッセ近くのホテルに宿泊したメンバーは14時頃に会場入りしました。前日のゲネプロも含めていたってリラックスムードのメンバー。幕張メッセの楽屋でも、ツアー中のそれと変わらないリラックスした時間が流れます。ファンから手渡された手紙を読んだりグッズを物色したり、差し入れをつまみ食いしたり・・・。この幕張でのライブは2日間とも楽屋に敏腕マッサージ師が常務してくれており、メンバーは交代でマッサージを受けて恍惚としていました。
 この日、ホテルで目覚めた“藤原”はにわかに脇腹に痛みを感じ、「何でこんな日に腹が痛くなるんだよぉ!!」と嘆き苦しんだそうです。その痛みを盲腸と判断した“藤原”がとった行動は、携帯のi-modeを使って盲腸を調べたそうなのです。対処方法や症状の詳細が知りたかったにもかかわらず検索されるのは盲腸という文字が入った個人の闘病日記などの関係ない情報ばかり・・・。さい先悪い目覚めだったようですが、会場入りする頃にはすっかり痛みもひき万全の状態でライブに臨めたのでした。
 幕張メッセには開場前から物販グッズなどを求めてたくさんのお客さんが駆け付けています。開場1時間前にもなると、エントランスの前にお客さんの長蛇の列ができていました。この『PEGASUS YOU』限定の物販グッズが“チャマ”によってデザインされました。その種類も豊富で、Tシャツ、ウィンドブレーカー、バスタオル(これらには、幕張=千葉ってこともあり千葉県の地形がモチーフとなったグラフィックがデザインされていました)、肩掛け用ポーチ、携帯ストラップ etc… ファンにはたまらない“バンプ”グッズの数々が揃えられていました。
 午後6時過ぎ。いよいよ開演が近付き、会場を埋め尽くした15000人のお客さんもざわめき立ちます。そして会場が暗転。いつもの THE WHOの「クイック・ワン」が流れます。オレンジ色の照明の中にメンバーのシルエットが登場すると、場内から地鳴りのような大歓声が沸き起こります。いよいよメンバーがステージに登場、TOUR FINAL『PEGASUS YOU』の1日目のステージが始まります!! 1曲目は「オンリー ロンリー グローリー」。“藤原”の「ウォー!!」という掛け声にのって“増川”がイントロのギターを掻きむしると場内が明転、まさに怒濤のようにライブが開始されました。 2曲目の「天体観測」のイントロが流れると場内からは更に大きな歓声が上がります。このツアーを通じて更に演奏力/表現力に磨きがかかった「天体観測」は、“バンプ”の代名詞的なヒット曲という枠を超えて会場のお客さんの感動を誘っていました。そして息つく暇もなく「sailing day」の演奏に突入します。この3曲ですでに会場のテンションは最高潮。たくさんのお客さんがエリア外に溢れ出し運び出される程です。そして、4曲目の「車輪の唄」の前奏が奏でられると同時に、ステージ上方から吊るされていた縦長長方形の4枚のビジョンに、それぞれメンバー一人ずつが大きく映し出されました。この演出にさらに大きな歓声が上がる場内。向かって左側のビジョンには気持ち良さそうにベースを爪弾く“チャマ”が、その隣りのビジョンには子気味良くタイトにリズムを刻む“升”が、その隣りには目をつむりながら、激しくも愛おしそうに言葉を紡ぎ歌う“藤原”が、そして向かって右側のビジョンには顔をしかめながら必死にギターをバッキングする“増川”が映し出されています。
 セピア色に映し出されたメンバーに見入る観客。幕張メッセならではの演出にお客さんも酔いしれていました。そして演奏は、ファーストアルバム『FLAME VEIN』に収録されている名曲「くだらない唄」「ノーヒットノーラン」と続きます。既に5年前に発表されている初期の曲にもかかわらず、この幕張のステージでも瑞々しさと輝きを放ちながら奏でられていました。そして「ギルド」。8月にリリースされたニューアルバム『ユグドラシ』に収録されているこの曲はアルバムでも非常に人気が高いナンバー。イントロのギターリフが流れると更に場内がどよめき立ちました。時折その歌詞をライブ用に変えて歌う“藤原”。ライブならではの感情が、本来の歌詞をよりドラマティックに変えて歌わせるのかも知れません。そして、これも初期の名曲「リトルブレイバー」です。これは『MY PEGASUS』でも演奏され続けた曲ですが、イントロのアルペジオギターの演奏に入る前に、“藤原”特有の切なくも美しいコード感でギターが奏でられるライブバージョンでの曲入りでした。「リトルブレイバー」演奏終了後、ステージ中央にフロント3人が集まってカウントをとります。このツアーでバンドグルーブが増し、より一層曲の表現力に磨きがかかって歌詞の持つ壮大さと切実さと美しさをダイナミックに伝えることができるようになった名曲「Ever lasting lie」の演奏です。間奏の“増川”の掻きむしるようなギタープレイに、15000人のお客さんの心が揺さぶられたに違いありません。 そして“藤原”の「新曲やります!」とうMCの後に、12/1にリリースされたシングル「車輪の唄」のカップリングに収録されたナンバー「夢の飼い主」が演奏されました。Final 『PEGASUS YOU』で初めて演奏されたこの曲ですが、ライブならではのバンドグルーブを以てよりダイレクトに熱く響く「夢の飼い主」として演奏されていました。
 演奏終了後、“チャマ”が恥ずかしそうにこうMCしました。「面白い話しを聞かせてあげるね。俺ね、10年くらい前にここ幕張でコックの見習いの仕事をしてたの。ちょうどこの会場からすぐ近くのイタリア料理屋さんでね。そんでね、そん時にホントお世話になった厨房のチーフが今日のステージを観に来てくれてんだよね。俺ホントに嬉しくて恥ずかしくて・・・。チーフ!有り難うございます!!」。このMCに場内から大きな拍手が起こりました。続いて、アップテンポなナンバー「乗車権」と「K」が立て続けに演奏されると場内は再びヒートアップ!無数の拳が掲げられます。そしてBUMP OF CHICKENのメジャーデビュー曲「ダイヤモンド」では、サビの「一つだけ一つだけ〜」という歌詞に合わせて、人差し指を突き上げた拳が高く力強く振り上げられていました。次に演奏されたのは『ユグドラシル』に収録されたナンバー「同じドアをくぐれたら」です。32本をまわりきったツアーで、その後奏でアドリブのジャムグルーブを演奏するようになったこの曲。この日の演奏でも、深く重い演奏でライブバージョンとしての「同じドア〜」を奏でていました。そして、“藤原”がファンには見慣れないアコースティックギターに持ち替えます。そして、手グセの美しいアルぺジオを爪弾いた後、降り始めの雪が一粒ずつ肩に落ちる様を思わせるような、美しく切ないイントロが爪弾かれます。そう、冬のスタンダード「スノースマイル」の演奏です。青を基調とした美しい照明が曲の世界観をよりロマンティックに演出し、会場全体が「スノースマイル」の美しくも切ない情景で塗り詰められた瞬間でした。そして、本編最後の曲は「fire sign」です。ツアーと同様、ブレイクでは全ての照明が照らされて、「ナァ〜ナァ〜!ナナナナナナァ〜ナァ〜!」という大合唱が会場全体を津波のように包み込んでいました。 本編終了後は、これも地鳴りのような手拍子と「アンコール」の大合唱が会場に響き渡ります。再びメンバーがステージに登場するまでは決して鳴り止みそうもない地鳴りです。そしてステージが明転。この大合唱におされて再びメンバーがステージに登場しました。それぞれお気に入りの色のツアーTシャツに着替えての再登場です。“藤原”は、お得意のTシャツのリメイクを怠ってしまったらしく、「首もとが苦しい!!」とTシャツの襟を引っ張って顔をしかめていました。「アンコール有り難う!!歌わせてもらいます!!」。“藤原”の掛け声とともにたおやかなアルペジオが奏でられ「embrace」が演奏されました。この曲だけはほとんどギターを弾かずに、ポケットに両手を突っ込んだりマイクスタンドを握りしめたりする仕草でボーカルに専念して歌い上げる“藤原”。ビジョンに映し出されるその姿が、より凛々しく見える演奏でした。そして1日目ラストに演奏されたのは「ダンデライオン」でした。“藤原”が弾くコミカルかつ軽快なイントロ・ギターリフに合わせて15000人のお客さんがリズミックに飛び上がっていました。
 1日目の『PEGASUS YOU』のステージは、緊張感の中にもたくさんのドラマがちりばめられた情熱的、感動的なライブになりました。ライブ終了後、楽屋でこの日の演奏の反省点を確認し合うメンバー。翌日の2日目のステージへの課題を残しつつも、初の幕張メッセでのワンマンライブを無事に終えた充実感を噛みしめているようでした。その日の打ち上げは、会場から車で10分程走ったところにある焼き肉屋さんにておこなわれました。ツアーの時と同様に「梅干し入りお湯」を特別注文する“藤原”。同時に、翌日のライブに備えて喉を温存した“一言も喋らない療法”を実行していました。いよいよ翌日は、年内国内では最後のライブになります。打ち上げ後は、4人とも会場近くのホテルに戻ってゆっくりと休養をとったようでした。

 迎えた翌日は最終後公演日。この日も、淡々とした時間が楽屋に流れます。その静寂を打ち破るかのように楽屋に押し寄せたのは“チャマ”家族一行です。ご両親、おじいちゃん、おばあちゃん、お姉さん・・・。“チャマ”一家総動員でライブを観に来てくれたようです。しかも、“マモル”お父さんは、『ユグドラシル』の歌詞カード面をモチーフにした飴細工がデコレートされた特大ショートケーキの差し入れを持って来てくれたのです。これには、メンバー、スタッフともに大喜び。ライブ終了後この感慨深いケーキの美味を堪能させてもらったのです。
 この日は最終公演日ということもあり、開場前の、お客さんの入っていない会場にてBUMP OF CHICKENメンバー4人&全てのスタッフによる全員ショット記念撮影がおこなわれました。
 2日目の幕張公演にも、前日同様15000人のファンが詰めかけました。この日はあいにくの雨模様。気温もぐっと下がって肌寒い天気でした。それでも、幕張メッセの会場内は熱気でムンムン。大ステージでのBUMP OF CHICKENの演奏を楽しみにして来たファンがギュウギュウにひしめき合っていました。いよいよ開演の時間です。1日目同様、THE WHOの「クイック・ワン」のSEにのってメンバーがステージに登場すると、会場が雄叫びにも似た大きな歓声で包まれます。そして「オンリー ロンリー グローリー」のイントロが激しくかき鳴らされ、いよいよ最終公演『PEGASUS YOU』2日目のライブがスタートしました。この日の2曲目は、アルバム『jupiter』の1曲目に収録された力強いナンバー「stage of the ground」が演奏されました。“升”のドラムソロから入るライブバージョンでの演奏でしたが、ドラムの力強いリズムにのせて「オイッ!オイッ!」という掛け声が会場に沸き上がっていました。3曲目は「天体観測」です。この日は、この「天体観測」のオープニングと同時にステージ後ろの大ビジョンにメンバーの姿が映し出されました。ヒット曲「天体観測」のイントロにのってメンバーのビジュアルが大きく映し出されると、場内からは更に大きな歓声が上がります。青を基調とした照明に照らし出される「天体観測」の世界観に、会場内の全ての人が酔いしれているように見えました。演奏終了後、早くも“チャマ”が喋ります。「そうだよ!これがライブだよ!!今日はホントに最高だ!どんどん演奏するよ」。そして「ギルド」のイントロが流れます。この日の「ギルド」もライブならではの歌詞に変えて熱唱されていました。続いて、1日目に続きライブバージョンのギター演奏の後に「リトルブレイバー」が演奏されました。途中、「全身全霊の力をリトルブレイバー」という歌詞を、「君にとってその拳(て)がリトルブレイバー」と歌詞がアレンジされて歌われると、より多くの拳が突き上げられていました。そして“藤原”がMCします。「ホントに楽しく歌わせてもらってます。有り難う!!会場全体が見えます。後ろの方の人も手を上げてくれよ!そしたらしっかり見えるんだ!どんどん歌うからしっかり聴いててくれよ。そんで、もし気分が悪くなったら迷わず後ろに避難してくれよ。どこにいても俺等の演奏は届くはずだから。気を失って演奏が聴けなかったってのだけは避けて欲しい。宜しくな!!」。 続いて、これもライブバージョンのジャムセッションでのエンディングがドラマティックな「同じドアをくぐれたら」、そして、BUMP OF CHICKENの初シングル曲「ランプ」が演奏されました。演奏終了後、“藤原”が“増川”を指差して言いました。「“増川”が喋ります!」。不意をつかれてたじろぐ“増川”。「“増川”は昨日の夜から喋ることを考えてたんです。俺の部屋に来て打ち合わせたくらいだから・・・」。どこまで本当かわからない“藤原”の急なMCのフリにすっかり面食らった様子の“増川”でしたが、しどろもどろにMCを始めました。「ホントに有り難う・・・。しかし、よく来たよね!こんなにたくさん!」。MCというよりは、思ったことをそのまま言った感の強い喋りでしたが、会場にはそんな“増川”を愛おしむような笑いが起こっていました。「どんどん演奏するよ。聴いて下さい!!」“増川”の仕切り直しのソリッドなギターアルペジオとともに「乗車権」が演奏されると、会場が再び大きく波打ちます。続いてこれもアップテンポのナンバー「K」の演奏です。ツアー中も、この2曲が立て続けに演奏されると会場内のテンションはいつも最高潮を迎えおり、この日の幕張もそんな最高潮の盛り上がりを見せていました。そして、今回のツアーも含めた全てのライブで、中盤の会場とステージの一体感をマックスで演出し続けてくれた「ダイヤモンド」が演奏されます。この日の「ダイヤモンド」での“藤原”のボーカルは、いつにも増して鬼気迫る迫真の歌声を響かせていました。演奏終了後、“藤原”がやさしくMCしました。「今日でツアーが終わります。この場を借りてお礼を言わせて下さい。このツアーに携わってくれた全てのスタッフ、俺等を盛り上げてくれた家族や友人、そして俺等と一緒にライブをつくりあげてくれた君らお客さんに!!」「そんで、感謝の気持ちを込めて歌います。“embrace”!!」。 そのMCの後に歌われた「embrace」は、より優しく、よりドラマティックに心に響いた気がしました。この日の“藤原”は、想いの多さが言葉になって溢れでてくるようでした。「あぁ・・・。最高だよ。ずっとここで歌ってたいよ。でも、あと2曲になっちまった・・・。ホントに心を込めて歌うよ!!」。溢れる感情を全て歌に詰め込んだ「ハルジオン」の演奏に、会場全体が呼応するかのように更なる一体感を煽っていました。そして本編最後には、「ロストマン」がドラマティックに壮大に演奏されました。1日目同様、地鳴りのような手拍子と「アンコール」の大合唱が会場を包み込みます。メンバーが再登場するまでは、本当に永遠に止むことのないような地鳴り・・・。1日目よりは時間がかかってメンバーがステージに再登場すると、更なる大歓声が沸き起こりました。この日のアンコール1曲目は「スノースマイル」でした。晩夏から始まった今回のツアー。ファイナルのこの日、「スノースマイル」はその季節感もピッタリに演奏されていたのを考えると、季節をまたいで駆け抜けた今回のツアーの長さを実感した「スノースマイル」の演奏だったのです。そして、“チャマ”が感慨深げに喋りました。「このツアーで色んなところで演奏したよ。同じメンバーで同じスタッフで全国をまわったんだけど、どれも全然違ったライブだった。その時その場所でしかできないライブをやってきたんだ。そして今日の最終日。このステージに立って、改めてここで演奏できる奇跡と幸運に感謝してます。ホントに有り難う!!」。続いて“藤原”もMCしました。「ホントに有り難う。俺も、このステージに立てることにホントに感謝してる。そして君らに感謝してます。もう一曲歌わせて下さい。そんで、君らの声も響かせて下さい!」。そうして演奏されたこのツアー最後の「fire sign」でも、この瞬間を共にでき、この瞬間を共に歌える奇跡を噛みしめるかのような大合唱が会場にこだましていました。そして演奏終了後、“藤原”が最後の力をふり絞るように喋りました。「もう声がでないよ。でも、あと1曲だけ歌わせて欲しい・・・。俺、このツアーでわかったことがあるんだよ。俺の歌を聴きたいって人が目の前にいてくれたら歌えるってことを・・・。君らが俺の歌を望んでくれたら歌えるってことを!最後に一呼吸分の力でいいから俺に分けて下さい。そしたら俺は歌えるんです!!」。会場全てのお客さんからもらった「一呼吸分」の力とともに演奏されたツアー最後の曲「ガラスのブルース」は、BUMP OF CHICKEN(弱者の反撃)が誠実に命がけで音楽と向き合ってきた軌跡を讃えるかのように力強く会場全体に鳴り響いていました。全ての演奏が終了し、メンバーが楽屋へと戻って行きます。誰もいなくなったステージに向けて、会場全体から惜しみない拍手が贈られていました。
 全国32公演をまわったツアー『MY PEGASUS』、そして、初の30000人規模のワンマンライブとなったツアー・ファイナル『PEGASUS YOU』。場所も規模も、集まった観客も全て違った一つ一つのライブで、一曲一曲を誠実に大切に演奏し続けて来たBUMP OF CHICKEN。BUMP OF CHICKENの音楽と、それを聴いて何かを感じたリスナーとの一対一の真摯な関係が無限に広がっていく限り、数十万、数百万の個人的なドラマと感動がそれぞれのリスナーの現実の中で生まれ育まれていくことでしょう。
by bumptour | 2005-01-21 20:43 -->  9月から始まったツアー『MY PEGASUS』を、11/20の沖縄公演をもって完走したBUMP OF CHICKEN。去る12/11.12の2日間、「幕張メッセ展示場ホール9.10.11」にてツアーファイナル『PEGASUS YOU』をおこないました。1日15000人、2日間で30000人を動員した、BUMP OF CHICKENにとっては過去最多動員のワンマンライブになりました。
 1日目当日は、さい先良い晴天。前日のリハーサル後、そのまま幕張メッセ近くのホテルに宿泊したメンバーは14時頃に会場入りしました。前日のゲネプロも含めていたってリラックスムードのメンバー。幕張メッセの楽屋でも、ツアー中のそれと変わらないリラックスした時間が流れます。ファンから手渡された手紙を読んだりグッズを物色したり、差し入れをつまみ食いしたり・・・。この幕張でのライブは2日間とも楽屋に敏腕マッサージ師が常務してくれており、メンバーは交代でマッサージを受けて恍惚としていました。
 この日、ホテルで目覚めた“藤原”はにわかに脇腹に痛みを感じ、「何でこんな日に腹が痛くなるんだよぉ!!」と嘆き苦しんだそうです。その痛みを盲腸と判断した“藤原”がとった行動は、携帯のi-modeを使って盲腸を調べたそうなのです。対処方法や症状の詳細が知りたかったにもかかわらず検索されるのは盲腸という文字が入った個人の闘病日記などの関係ない情報ばかり・・・。さい先悪い目覚めだったようですが、会場入りする頃にはすっかり痛みもひき万全の状態でライブに臨めたのでした。
 幕張メッセには開場前から物販グッズなどを求めてたくさんのお客さんが駆け付けています。開場1時間前にもなると、エントランスの前にお客さんの長蛇の列ができていました。この『PEGASUS YOU』限定の物販グッズが“チャマ”によってデザインされました。その種類も豊富で、Tシャツ、ウィンドブレーカー、バスタオル(これらには、幕張=千葉ってこともあり千葉県の地形がモチーフとなったグラフィックがデザインされていました)、肩掛け用ポーチ、携帯ストラップ etc… ファンにはたまらない“バンプ”グッズの数々が揃えられていました。
 午後6時過ぎ。いよいよ開演が近付き、会場を埋め尽くした15000人のお客さんもざわめき立ちます。そして会場が暗転。いつもの THE WHOの「クイック・ワン」が流れます。オレンジ色の照明の中にメンバーのシルエットが登場すると、場内から地鳴りのような大歓声が沸き起こります。いよいよメンバーがステージに登場、TOUR FINAL『PEGASUS YOU』の1日目のステージが始まります!! 1曲目は「オンリー ロンリー グローリー」。“藤原”の「ウォー!!」という掛け声にのって“増川”がイントロのギターを掻きむしると場内が明転、まさに怒濤のようにライブが開始されました。 2曲目の「天体観測」のイントロが流れると場内からは更に大きな歓声が上がります。このツアーを通じて更に演奏力/表現力に磨きがかかった「天体観測」は、“バンプ”の代名詞的なヒット曲という枠を超えて会場のお客さんの感動を誘っていました。そして息つく暇もなく「sailing day」の演奏に突入します。この3曲ですでに会場のテンションは最高潮。たくさんのお客さんがエリア外に溢れ出し運び出される程です。そして、4曲目の「車輪の唄」の前奏が奏でられると同時に、ステージ上方から吊るされていた縦長長方形の4枚のビジョンに、それぞれメンバー一人ずつが大きく映し出されました。この演出にさらに大きな歓声が上がる場内。向かって左側のビジョンには気持ち良さそうにベースを爪弾く“チャマ”が、その隣りのビジョンには子気味良くタイトにリズムを刻む“升”が、その隣りには目をつむりながら、激しくも愛おしそうに言葉を紡ぎ歌う“藤原”が、そして向かって右側のビジョンには顔をしかめながら必死にギターをバッキングする“増川”が映し出されています。
 セピア色に映し出されたメンバーに見入る観客。幕張メッセならではの演出にお客さんも酔いしれていました。そして演奏は、ファーストアルバム『FLAME VEIN』に収録されている名曲「くだらない唄」「ノーヒットノーラン」と続きます。既に5年前に発表されている初期の曲にもかかわらず、この幕張のステージでも瑞々しさと輝きを放ちながら奏でられていました。そして「ギルド」。8月にリリースされたニューアルバム『ユグドラシ』に収録されているこの曲はアルバムでも非常に人気が高いナンバー。イントロのギターリフが流れると更に場内がどよめき立ちました。時折その歌詞をライブ用に変えて歌う“藤原”。ライブならではの感情が、本来の歌詞をよりドラマティックに変えて歌わせるのかも知れません。そして、これも初期の名曲「リトルブレイバー」です。これは『MY PEGASUS』でも演奏され続けた曲ですが、イントロのアルペジオギターの演奏に入る前に、“藤原”特有の切なくも美しいコード感でギターが奏でられるライブバージョンでの曲入りでした。「リトルブレイバー」演奏終了後、ステージ中央にフロント3人が集まってカウントをとります。このツアーでバンドグルーブが増し、より一層曲の表現力に磨きがかかって歌詞の持つ壮大さと切実さと美しさをダイナミックに伝えることができるようになった名曲「Ever lasting lie」の演奏です。間奏の“増川”の掻きむしるようなギタープレイに、15000人のお客さんの心が揺さぶられたに違いありません。 そして“藤原”の「新曲やります!」とうMCの後に、12/1にリリースされたシングル「車輪の唄」のカップリングに収録されたナンバー「夢の飼い主」が演奏されました。Final 『PEGASUS YOU』で初めて演奏されたこの曲ですが、ライブならではのバンドグルーブを以てよりダイレクトに熱く響く「夢の飼い主」として演奏されていました。
 演奏終了後、“チャマ”が恥ずかしそうにこうMCしました。「面白い話しを聞かせてあげるね。俺ね、10年くらい前にここ幕張でコックの見習いの仕事をしてたの。ちょうどこの会場からすぐ近くのイタリア料理屋さんでね。そんでね、そん時にホントお世話になった厨房のチーフが今日のステージを観に来てくれてんだよね。俺ホントに嬉しくて恥ずかしくて・・・。チーフ!有り難うございます!!」。このMCに場内から大きな拍手が起こりました。続いて、アップテンポなナンバー「乗車権」と「K」が立て続けに演奏されると場内は再びヒートアップ!無数の拳が掲げられます。そしてBUMP OF CHICKENのメジャーデビュー曲「ダイヤモンド」では、サビの「一つだけ一つだけ〜」という歌詞に合わせて、人差し指を突き上げた拳が高く力強く振り上げられていました。次に演奏されたのは『ユグドラシル』に収録されたナンバー「同じドアをくぐれたら」です。32本をまわりきったツアーで、その後奏でアドリブのジャムグルーブを演奏するようになったこの曲。この日の演奏でも、深く重い演奏でライブバージョンとしての「同じドア〜」を奏でていました。そして、“藤原”がファンには見慣れないアコースティックギターに持ち替えます。そして、手グセの美しいアルぺジオを爪弾いた後、降り始めの雪が一粒ずつ肩に落ちる様を思わせるような、美しく切ないイントロが爪弾かれます。そう、冬のスタンダード「スノースマイル」の演奏です。青を基調とした美しい照明が曲の世界観をよりロマンティックに演出し、会場全体が「スノースマイル」の美しくも切ない情景で塗り詰められた瞬間でした。そして、本編最後の曲は「fire sign」です。ツアーと同様、ブレイクでは全ての照明が照らされて、「ナァ〜ナァ〜!ナナナナナナァ〜ナァ〜!」という大合唱が会場全体を津波のように包み込んでいました。 本編終了後は、これも地鳴りのような手拍子と「アンコール」の大合唱が会場に響き渡ります。再びメンバーがステージに登場するまでは決して鳴り止みそうもない地鳴りです。そしてステージが明転。この大合唱におされて再びメンバーがステージに登場しました。それぞれお気に入りの色のツアーTシャツに着替えての再登場です。“藤原”は、お得意のTシャツのリメイクを怠ってしまったらしく、「首もとが苦しい!!」とTシャツの襟を引っ張って顔をしかめていました。「アンコール有り難う!!歌わせてもらいます!!」。“藤原”の掛け声とともにたおやかなアルペジオが奏でられ「embrace」が演奏されました。この曲だけはほとんどギターを弾かずに、ポケットに両手を突っ込んだりマイクスタンドを握りしめたりする仕草でボーカルに専念して歌い上げる“藤原”。ビジョンに映し出されるその姿が、より凛々しく見える演奏でした。そして1日目ラストに演奏されたのは「ダンデライオン」でした。“藤原”が弾くコミカルかつ軽快なイントロ・ギターリフに合わせて15000人のお客さんがリズミックに飛び上がっていました。
 1日目の『PEGASUS YOU』のステージは、緊張感の中にもたくさんのドラマがちりばめられた情熱的、感動的なライブになりました。ライブ終了後、楽屋でこの日の演奏の反省点を確認し合うメンバー。翌日の2日目のステージへの課題を残しつつも、初の幕張メッセでのワンマンライブを無事に終えた充実感を噛みしめているようでした。その日の打ち上げは、会場から車で10分程走ったところにある焼き肉屋さんにておこなわれました。ツアーの時と同様に「梅干し入りお湯」を特別注文する“藤原”。同時に、翌日のライブに備えて喉を温存した“一言も喋らない療法”を実行していました。いよいよ翌日は、年内国内では最後のライブになります。打ち上げ後は、4人とも会場近くのホテルに戻ってゆっくりと休養をとったようでした。

 迎えた翌日は最終後公演日。この日も、淡々とした時間が楽屋に流れます。その静寂を打ち破るかのように楽屋に押し寄せたのは“チャマ”家族一行です。ご両親、おじいちゃん、おばあちゃん、お姉さん・・・。“チャマ”一家総動員でライブを観に来てくれたようです。しかも、“マモル”お父さんは、『ユグドラシル』の歌詞カード面をモチーフにした飴細工がデコレートされた特大ショートケーキの差し入れを持って来てくれたのです。これには、メンバー、スタッフともに大喜び。ライブ終了後この感慨深いケーキの美味を堪能させてもらったのです。
 この日は最終公演日ということもあり、開場前の、お客さんの入っていない会場にてBUMP OF CHICKENメンバー4人&全てのスタッフによる全員ショット記念撮影がおこなわれました。
 2日目の幕張公演にも、前日同様15000人のファンが詰めかけました。この日はあいにくの雨模様。気温もぐっと下がって肌寒い天気でした。それでも、幕張メッセの会場内は熱気でムンムン。大ステージでのBUMP OF CHICKENの演奏を楽しみにして来たファンがギュウギュウにひしめき合っていました。いよいよ開演の時間です。1日目同様、THE WHOの「クイック・ワン」のSEにのってメンバーがステージに登場すると、会場が雄叫びにも似た大きな歓声で包まれます。そして「オンリー ロンリー グローリー」のイントロが激しくかき鳴らされ、いよいよ最終公演『PEGASUS YOU』2日目のライブがスタートしました。この日の2曲目は、アルバム『jupiter』の1曲目に収録された力強いナンバー「stage of the ground」が演奏されました。“升”のドラムソロから入るライブバージョンでの演奏でしたが、ドラムの力強いリズムにのせて「オイッ!オイッ!」という掛け声が会場に沸き上がっていました。3曲目は「天体観測」です。この日は、この「天体観測」のオープニングと同時にステージ後ろの大ビジョンにメンバーの姿が映し出されました。ヒット曲「天体観測」のイントロにのってメンバーのビジュアルが大きく映し出されると、場内からは更に大きな歓声が上がります。青を基調とした照明に照らし出される「天体観測」の世界観に、会場内の全ての人が酔いしれているように見えました。演奏終了後、早くも“チャマ”が喋ります。「そうだよ!これがライブだよ!!今日はホントに最高だ!どんどん演奏するよ」。そして「ギルド」のイントロが流れます。この日の「ギルド」もライブならではの歌詞に変えて熱唱されていました。続いて、1日目に続きライブバージョンのギター演奏の後に「リトルブレイバー」が演奏されました。途中、「全身全霊の力をリトルブレイバー」という歌詞を、「君にとってその拳(て)がリトルブレイバー」と歌詞がアレンジされて歌われると、より多くの拳が突き上げられていました。そして“藤原”がMCします。「ホントに楽しく歌わせてもらってます。有り難う!!会場全体が見えます。後ろの方の人も手を上げてくれよ!そしたらしっかり見えるんだ!どんどん歌うからしっかり聴いててくれよ。そんで、もし気分が悪くなったら迷わず後ろに避難してくれよ。どこにいても俺等の演奏は届くはずだから。気を失って演奏が聴けなかったってのだけは避けて欲しい。宜しくな!!」。 続いて、これもライブバージョンのジャムセッションでのエンディングがドラマティックな「同じドアをくぐれたら」、そして、BUMP OF CHICKENの初シングル曲「ランプ」が演奏されました。演奏終了後、“藤原”が“増川”を指差して言いました。「“増川”が喋ります!」。不意をつかれてたじろぐ“増川”。「“増川”は昨日の夜から喋ることを考えてたんです。俺の部屋に来て打ち合わせたくらいだから・・・」。どこまで本当かわからない“藤原”の急なMCのフリにすっかり面食らった様子の“増川”でしたが、しどろもどろにMCを始めました。「ホントに有り難う・・・。しかし、よく来たよね!こんなにたくさん!」。MCというよりは、思ったことをそのまま言った感の強い喋りでしたが、会場にはそんな“増川”を愛おしむような笑いが起こっていました。「どんどん演奏するよ。聴いて下さい!!」“増川”の仕切り直しのソリッドなギターアルペジオとともに「乗車権」が演奏されると、会場が再び大きく波打ちます。続いてこれもアップテンポのナンバー「K」の演奏です。ツアー中も、この2曲が立て続けに演奏されると会場内のテンションはいつも最高潮を迎えおり、この日の幕張もそんな最高潮の盛り上がりを見せていました。そして、今回のツアーも含めた全てのライブで、中盤の会場とステージの一体感をマックスで演出し続けてくれた「ダイヤモンド」が演奏されます。この日の「ダイヤモンド」での“藤原”のボーカルは、いつにも増して鬼気迫る迫真の歌声を響かせていました。演奏終了後、“藤原”がやさしくMCしました。「今日でツアーが終わります。この場を借りてお礼を言わせて下さい。このツアーに携わってくれた全てのスタッフ、俺等を盛り上げてくれた家族や友人、そして俺等と一緒にライブをつくりあげてくれた君らお客さんに!!」「そんで、感謝の気持ちを込めて歌います。“embrace”!!」。 そのMCの後に歌われた「embrace」は、より優しく、よりドラマティックに心に響いた気がしました。この日の“藤原”は、想いの多さが言葉になって溢れでてくるようでした。「あぁ・・・。最高だよ。ずっとここで歌ってたいよ。でも、あと2曲になっちまった・・・。ホントに心を込めて歌うよ!!」。溢れる感情を全て歌に詰め込んだ「ハルジオン」の演奏に、会場全体が呼応するかのように更なる一体感を煽っていました。そして本編最後には、「ロストマン」がドラマティックに壮大に演奏されました。1日目同様、地鳴りのような手拍子と「アンコール」の大合唱が会場を包み込みます。メンバーが再登場するまでは、本当に永遠に止むことのないような地鳴り・・・。1日目よりは時間がかかってメンバーがステージに再登場すると、更なる大歓声が沸き起こりました。この日のアンコール1曲目は「スノースマイル」でした。晩夏から始まった今回のツアー。ファイナルのこの日、「スノースマイル」はその季節感もピッタリに演奏されていたのを考えると、季節をまたいで駆け抜けた今回のツアーの長さを実感した「スノースマイル」の演奏だったのです。そして、“チャマ”が感慨深げに喋りました。「このツアーで色んなところで演奏したよ。同じメンバーで同じスタッフで全国をまわったんだけど、どれも全然違ったライブだった。その時その場所でしかできないライブをやってきたんだ。そして今日の最終日。このステージに立って、改めてここで演奏できる奇跡と幸運に感謝してます。ホントに有り難う!!」。続いて“藤原”もMCしました。「ホントに有り難う。俺も、このステージに立てることにホントに感謝してる。そして君らに感謝してます。もう一曲歌わせて下さい。そんで、君らの声も響かせて下さい!」。そうして演奏されたこのツアー最後の「fire sign」でも、この瞬間を共にでき、この瞬間を共に歌える奇跡を噛みしめるかのような大合唱が会場にこだましていました。そして演奏終了後、“藤原”が最後の力をふり絞るように喋りました。「もう声がでないよ。でも、あと1曲だけ歌わせて欲しい・・・。俺、このツアーでわかったことがあるんだよ。俺の歌を聴きたいって人が目の前にいてくれたら歌えるってことを・・・。君らが俺の歌を望んでくれたら歌えるってことを!最後に一呼吸分の力でいいから俺に分けて下さい。そしたら俺は歌えるんです!!」。会場全てのお客さんからもらった「一呼吸分」の力とともに演奏されたツアー最後の曲「ガラスのブルース」は、BUMP OF CHICKEN(弱者の反撃)が誠実に命がけで音楽と向き合ってきた軌跡を讃えるかのように力強く会場全体に鳴り響いていました。全ての演奏が終了し、メンバーが楽屋へと戻って行きます。誰もいなくなったステージに向けて、会場全体から惜しみない拍手が贈られていました。
 全国32公演をまわったツアー『MY PEGASUS』、そして、初の30000人規模のワンマンライブとなったツアー・ファイナル『PEGASUS YOU』。場所も規模も、集まった観客も全て違った一つ一つのライブで、一曲一曲を誠実に大切に演奏し続けて来たBUMP OF CHICKEN。BUMP OF CHICKENの音楽と、それを聴いて何かを感じたリスナーとの一対一の真摯な関係が無限に広がっていく限り、数十万、数百万の個人的なドラマと感動がそれぞれのリスナーの現実の中で生まれ育まれていくことでしょう。
by bumptour | 2005-01-21 20:43 -->  9月から始まったツアー『MY PEGASUS』を、11/20の沖縄公演をもって完走したBUMP OF CHICKEN。去る12/11.12の2日間、「幕張メッセ展示場ホール9.10.11」にてツアーファイナル『PEGASUS YOU』をおこないました。1日15000人、2日間で30000人を動員した、BUMP OF CHICKENにとっては過去最多動員のワンマンライブになりました。
 1日目当日は、さい先良い晴天。前日のリハーサル後、そのまま幕張メッセ近くのホテルに宿泊したメンバーは14時頃に会場入りしました。前日のゲネプロも含めていたってリラックスムードのメンバー。幕張メッセの楽屋でも、ツアー中のそれと変わらないリラックスした時間が流れます。ファンから手渡された手紙を読んだりグッズを物色したり、差し入れをつまみ食いしたり・・・。この幕張でのライブは2日間とも楽屋に敏腕マッサージ師が常務してくれており、メンバーは交代でマッサージを受けて恍惚としていました。
 この日、ホテルで目覚めた“藤原”はにわかに脇腹に痛みを感じ、「何でこんな日に腹が痛くなるんだよぉ!!」と嘆き苦しんだそうです。その痛みを盲腸と判断した“藤原”がとった行動は、携帯のi-modeを使って盲腸を調べたそうなのです。対処方法や症状の詳細が知りたかったにもかかわらず検索されるのは盲腸という文字が入った個人の闘病日記などの関係ない情報ばかり・・・。さい先悪い目覚めだったようですが、会場入りする頃にはすっかり痛みもひき万全の状態でライブに臨めたのでした。
 幕張メッセには開場前から物販グッズなどを求めてたくさんのお客さんが駆け付けています。開場1時間前にもなると、エントランスの前にお客さんの長蛇の列ができていました。この『PEGASUS YOU』限定の物販グッズが“チャマ”によってデザインされました。その種類も豊富で、Tシャツ、ウィンドブレーカー、バスタオル(これらには、幕張=千葉ってこともあり千葉県の地形がモチーフとなったグラフィックがデザインされていました)、肩掛け用ポーチ、携帯ストラップ etc… ファンにはたまらない“バンプ”グッズの数々が揃えられていました。
 午後6時過ぎ。いよいよ開演が近付き、会場を埋め尽くした15000人のお客さんもざわめき立ちます。そして会場が暗転。いつもの THE WHOの「クイック・ワン」が流れます。オレンジ色の照明の中にメンバーのシルエットが登場すると、場内から地鳴りのような大歓声が沸き起こります。いよいよメンバーがステージに登場、TOUR FINAL『PEGASUS YOU』の1日目のステージが始まります!! 1曲目は「オンリー ロンリー グローリー」。“藤原”の「ウォー!!」という掛け声にのって“増川”がイントロのギターを掻きむしると場内が明転、まさに怒濤のようにライブが開始されました。 2曲目の「天体観測」のイントロが流れると場内からは更に大きな歓声が上がります。このツアーを通じて更に演奏力/表現力に磨きがかかった「天体観測」は、“バンプ”の代名詞的なヒット曲という枠を超えて会場のお客さんの感動を誘っていました。そして息つく暇もなく「sailing day」の演奏に突入します。この3曲ですでに会場のテンションは最高潮。たくさんのお客さんがエリア外に溢れ出し運び出される程です。そして、4曲目の「車輪の唄」の前奏が奏でられると同時に、ステージ上方から吊るされていた縦長長方形の4枚のビジョンに、それぞれメンバー一人ずつが大きく映し出されました。この演出にさらに大きな歓声が上がる場内。向かって左側のビジョンには気持ち良さそうにベースを爪弾く“チャマ”が、その隣りのビジョンには子気味良くタイトにリズムを刻む“升”が、その隣りには目をつむりながら、激しくも愛おしそうに言葉を紡ぎ歌う“藤原”が、そして向かって右側のビジョンには顔をしかめながら必死にギターをバッキングする“増川”が映し出されています。
 セピア色に映し出されたメンバーに見入る観客。幕張メッセならではの演出にお客さんも酔いしれていました。そして演奏は、ファーストアルバム『FLAME VEIN』に収録されている名曲「くだらない唄」「ノーヒットノーラン」と続きます。既に5年前に発表されている初期の曲にもかかわらず、この幕張のステージでも瑞々しさと輝きを放ちながら奏でられていました。そして「ギルド」。8月にリリースされたニューアルバム『ユグドラシ』に収録されているこの曲はアルバムでも非常に人気が高いナンバー。イントロのギターリフが流れると更に場内がどよめき立ちました。時折その歌詞をライブ用に変えて歌う“藤原”。ライブならではの感情が、本来の歌詞をよりドラマティックに変えて歌わせるのかも知れません。そして、これも初期の名曲「リトルブレイバー」です。これは『MY PEGASUS』でも演奏され続けた曲ですが、イントロのアルペジオギターの演奏に入る前に、“藤原”特有の切なくも美しいコード感でギターが奏でられるライブバージョンでの曲入りでした。「リトルブレイバー」演奏終了後、ステージ中央にフロント3人が集まってカウントをとります。このツアーでバンドグルーブが増し、より一層曲の表現力に磨きがかかって歌詞の持つ壮大さと切実さと美しさをダイナミックに伝えることができるようになった名曲「Ever lasting lie」の演奏です。間奏の“増川”の掻きむしるようなギタープレイに、15000人のお客さんの心が揺さぶられたに違いありません。 そして“藤原”の「新曲やります!」とうMCの後に、12/1にリリースされたシングル「車輪の唄」のカップリングに収録されたナンバー「夢の飼い主」が演奏されました。Final 『PEGASUS YOU』で初めて演奏されたこの曲ですが、ライブならではのバンドグルーブを以てよりダイレクトに熱く響く「夢の飼い主」として演奏されていました。
 演奏終了後、“チャマ”が恥ずかしそうにこうMCしました。「面白い話しを聞かせてあげるね。俺ね、10年くらい前にここ幕張でコックの見習いの仕事をしてたの。ちょうどこの会場からすぐ近くのイタリア料理屋さんでね。そんでね、そん時にホントお世話になった厨房のチーフが今日のステージを観に来てくれてんだよね。俺ホントに嬉しくて恥ずかしくて・・・。チーフ!有り難うございます!!」。このMCに場内から大きな拍手が起こりました。続いて、アップテンポなナンバー「乗車権」と「K」が立て続けに演奏されると場内は再びヒートアップ!無数の拳が掲げられます。そしてBUMP OF CHICKENのメジャーデビュー曲「ダイヤモンド」では、サビの「一つだけ一つだけ〜」という歌詞に合わせて、人差し指を突き上げた拳が高く力強く振り上げられていました。次に演奏されたのは『ユグドラシル』に収録されたナンバー「同じドアをくぐれたら」です。32本をまわりきったツアーで、その後奏でアドリブのジャムグルーブを演奏するようになったこの曲。この日の演奏でも、深く重い演奏でライブバージョンとしての「同じドア〜」を奏でていました。そして、“藤原”がファンには見慣れないアコースティックギターに持ち替えます。そして、手グセの美しいアルぺジオを爪弾いた後、降り始めの雪が一粒ずつ肩に落ちる様を思わせるような、美しく切ないイントロが爪弾かれます。そう、冬のスタンダード「スノースマイル」の演奏です。青を基調とした美しい照明が曲の世界観をよりロマンティックに演出し、会場全体が「スノースマイル」の美しくも切ない情景で塗り詰められた瞬間でした。そして、本編最後の曲は「fire sign」です。ツアーと同様、ブレイクでは全ての照明が照らされて、「ナァ〜ナァ〜!ナナナナナナァ〜ナァ〜!」という大合唱が会場全体を津波のように包み込んでいました。 本編終了後は、これも地鳴りのような手拍子と「アンコール」の大合唱が会場に響き渡ります。再びメンバーがステージに登場するまでは決して鳴り止みそうもない地鳴りです。そしてステージが明転。この大合唱におされて再びメンバーがステージに登場しました。それぞれお気に入りの色のツアーTシャツに着替えての再登場です。“藤原”は、お得意のTシャツのリメイクを怠ってしまったらしく、「首もとが苦しい!!」とTシャツの襟を引っ張って顔をしかめていました。「アンコール有り難う!!歌わせてもらいます!!」。“藤原”の掛け声とともにたおやかなアルペジオが奏でられ「embrace」が演奏されました。この曲だけはほとんどギターを弾かずに、ポケットに両手を突っ込んだりマイクスタンドを握りしめたりする仕草でボーカルに専念して歌い上げる“藤原”。ビジョンに映し出されるその姿が、より凛々しく見える演奏でした。そして1日目ラストに演奏されたのは「ダンデライオン」でした。“藤原”が弾くコミカルかつ軽快なイントロ・ギターリフに合わせて15000人のお客さんがリズミックに飛び上がっていました。
 1日目の『PEGASUS YOU』のステージは、緊張感の中にもたくさんのドラマがちりばめられた情熱的、感動的なライブになりました。ライブ終了後、楽屋でこの日の演奏の反省点を確認し合うメンバー。翌日の2日目のステージへの課題を残しつつも、初の幕張メッセでのワンマンライブを無事に終えた充実感を噛みしめているようでした。その日の打ち上げは、会場から車で10分程走ったところにある焼き肉屋さんにておこなわれました。ツアーの時と同様に「梅干し入りお湯」を特別注文する“藤原”。同時に、翌日のライブに備えて喉を温存した“一言も喋らない療法”を実行していました。いよいよ翌日は、年内国内では最後のライブになります。打ち上げ後は、4人とも会場近くのホテルに戻ってゆっくりと休養をとったようでした。

 迎えた翌日は最終後公演日。この日も、淡々とした時間が楽屋に流れます。その静寂を打ち破るかのように楽屋に押し寄せたのは“チャマ”家族一行です。ご両親、おじいちゃん、おばあちゃん、お姉さん・・・。“チャマ”一家総動員でライブを観に来てくれたようです。しかも、“マモル”お父さんは、『ユグドラシル』の歌詞カード面をモチーフにした飴細工がデコレートされた特大ショートケーキの差し入れを持って来てくれたのです。これには、メンバー、スタッフともに大喜び。ライブ終了後この感慨深いケーキの美味を堪能させてもらったのです。
 この日は最終公演日ということもあり、開場前の、お客さんの入っていない会場にてBUMP OF CHICKENメンバー4人&全てのスタッフによる全員ショット記念撮影がおこなわれました。
 2日目の幕張公演にも、前日同様15000人のファンが詰めかけました。この日はあいにくの雨模様。気温もぐっと下がって肌寒い天気でした。それでも、幕張メッセの会場内は熱気でムンムン。大ステージでのBUMP OF CHICKENの演奏を楽しみにして来たファンがギュウギュウにひしめき合っていました。いよいよ開演の時間です。1日目同様、THE WHOの「クイック・ワン」のSEにのってメンバーがステージに登場すると、会場が雄叫びにも似た大きな歓声で包まれます。そして「オンリー ロンリー グローリー」のイントロが激しくかき鳴らされ、いよいよ最終公演『PEGASUS YOU』2日目のライブがスタートしました。この日の2曲目は、アルバム『jupiter』の1曲目に収録された力強いナンバー「stage of the ground」が演奏されました。“升”のドラムソロから入るライブバージョンでの演奏でしたが、ドラムの力強いリズムにのせて「オイッ!オイッ!」という掛け声が会場に沸き上がっていました。3曲目は「天体観測」です。この日は、この「天体観測」のオープニングと同時にステージ後ろの大ビジョンにメンバーの姿が映し出されました。ヒット曲「天体観測」のイントロにのってメンバーのビジュアルが大きく映し出されると、場内からは更に大きな歓声が上がります。青を基調とした照明に照らし出される「天体観測」の世界観に、会場内の全ての人が酔いしれているように見えました。演奏終了後、早くも“チャマ”が喋ります。「そうだよ!これがライブだよ!!今日はホントに最高だ!どんどん演奏するよ」。そして「ギルド」のイントロが流れます。この日の「ギルド」もライブならではの歌詞に変えて熱唱されていました。続いて、1日目に続きライブバージョンのギター演奏の後に「リトルブレイバー」が演奏されました。途中、「全身全霊の力をリトルブレイバー」という歌詞を、「君にとってその拳(て)がリトルブレイバー」と歌詞がアレンジされて歌われると、より多くの拳が突き上げられていました。そして“藤原”がMCします。「ホントに楽しく歌わせてもらってます。有り難う!!会場全体が見えます。後ろの方の人も手を上げてくれよ!そしたらしっかり見えるんだ!どんどん歌うからしっかり聴いててくれよ。そんで、もし気分が悪くなったら迷わず後ろに避難してくれよ。どこにいても俺等の演奏は届くはずだから。気を失って演奏が聴けなかったってのだけは避けて欲しい。宜しくな!!」。 続いて、これもライブバージョンのジャムセッションでのエンディングがドラマティックな「同じドアをくぐれたら」、そして、BUMP OF CHICKENの初シングル曲「ランプ」が演奏されました。演奏終了後、“藤原”が“増川”を指差して言いました。「“増川”が喋ります!」。不意をつかれてたじろぐ“増川”。「“増川”は昨日の夜から喋ることを考えてたんです。俺の部屋に来て打ち合わせたくらいだから・・・」。どこまで本当かわからない“藤原”の急なMCのフリにすっかり面食らった様子の“増川”でしたが、しどろもどろにMCを始めました。「ホントに有り難う・・・。しかし、よく来たよね!こんなにたくさん!」。MCというよりは、思ったことをそのまま言った感の強い喋りでしたが、会場にはそんな“増川”を愛おしむような笑いが起こっていました。「どんどん演奏するよ。聴いて下さい!!」“増川”の仕切り直しのソリッドなギターアルペジオとともに「乗車権」が演奏されると、会場が再び大きく波打ちます。続いてこれもアップテンポのナンバー「K」の演奏です。ツアー中も、この2曲が立て続けに演奏されると会場内のテンションはいつも最高潮を迎えおり、この日の幕張もそんな最高潮の盛り上がりを見せていました。そして、今回のツアーも含めた全てのライブで、中盤の会場とステージの一体感をマックスで演出し続けてくれた「ダイヤモンド」が演奏されます。この日の「ダイヤモンド」での“藤原”のボーカルは、いつにも増して鬼気迫る迫真の歌声を響かせていました。演奏終了後、“藤原”がやさしくMCしました。「今日でツアーが終わります。この場を借りてお礼を言わせて下さい。このツアーに携わってくれた全てのスタッフ、俺等を盛り上げてくれた家族や友人、そして俺等と一緒にライブをつくりあげてくれた君らお客さんに!!」「そんで、感謝の気持ちを込めて歌います。“embrace”!!」。 そのMCの後に歌われた「embrace」は、より優しく、よりドラマティックに心に響いた気がしました。この日の“藤原”は、想いの多さが言葉になって溢れでてくるようでした。「あぁ・・・。最高だよ。ずっとここで歌ってたいよ。でも、あと2曲になっちまった・・・。ホントに心を込めて歌うよ!!」。溢れる感情を全て歌に詰め込んだ「ハルジオン」の演奏に、会場全体が呼応するかのように更なる一体感を煽っていました。そして本編最後には、「ロストマン」がドラマティックに壮大に演奏されました。1日目同様、地鳴りのような手拍子と「アンコール」の大合唱が会場を包み込みます。メンバーが再登場するまでは、本当に永遠に止むことのないような地鳴り・・・。1日目よりは時間がかかってメンバーがステージに再登場すると、更なる大歓声が沸き起こりました。この日のアンコール1曲目は「スノースマイル」でした。晩夏から始まった今回のツアー。ファイナルのこの日、「スノースマイル」はその季節感もピッタリに演奏されていたのを考えると、季節をまたいで駆け抜けた今回のツアーの長さを実感した「スノースマイル」の演奏だったのです。そして、“チャマ”が感慨深げに喋りました。「このツアーで色んなところで演奏したよ。同じメンバーで同じスタッフで全国をまわったんだけど、どれも全然違ったライブだった。その時その場所でしかできないライブをやってきたんだ。そして今日の最終日。このステージに立って、改めてここで演奏できる奇跡と幸運に感謝してます。ホントに有り難う!!」。続いて“藤原”もMCしました。「ホントに有り難う。俺も、このステージに立てることにホントに感謝してる。そして君らに感謝してます。もう一曲歌わせて下さい。そんで、君らの声も響かせて下さい!」。そうして演奏されたこのツアー最後の「fire sign」でも、この瞬間を共にでき、この瞬間を共に歌える奇跡を噛みしめるかのような大合唱が会場にこだましていました。そして演奏終了後、“藤原”が最後の力をふり絞るように喋りました。「もう声がでないよ。でも、あと1曲だけ歌わせて欲しい・・・。俺、このツアーでわかったことがあるんだよ。俺の歌を聴きたいって人が目の前にいてくれたら歌えるってことを・・・。君らが俺の歌を望んでくれたら歌えるってことを!最後に一呼吸分の力でいいから俺に分けて下さい。そしたら俺は歌えるんです!!」。会場全てのお客さんからもらった「一呼吸分」の力とともに演奏されたツアー最後の曲「ガラスのブルース」は、BUMP OF CHICKEN(弱者の反撃)が誠実に命がけで音楽と向き合ってきた軌跡を讃えるかのように力強く会場全体に鳴り響いていました。全ての演奏が終了し、メンバーが楽屋へと戻って行きます。誰もいなくなったステージに向けて、会場全体から惜しみない拍手が贈られていました。
 全国32公演をまわったツアー『MY PEGASUS』、そして、初の30000人規模のワンマンライブとなったツアー・ファイナル『PEGASUS YOU』。場所も規模も、集まった観客も全て違った一つ一つのライブで、一曲一曲を誠実に大切に演奏し続けて来たBUMP OF CHICKEN。BUMP OF CHICKENの音楽と、それを聴いて何かを感じたリスナーとの一対一の真摯な関係が無限に広がっていく限り、数十万、数百万の個人的なドラマと感動がそれぞれのリスナーの現実の中で生まれ育まれていくことでしょう。
by bumptour | 2005-01-21 20:43 -->  9月から始まったツアー『MY PEGASUS』を、11/20の沖縄公演をもって完走したBUMP OF CHICKEN。去る12/11.12の2日間、「幕張メッセ展示場ホール9.10.11」にてツアーファイナル『PEGASUS YOU』をおこないました。1日15000人、2日間で30000人を動員した、BUMP OF CHICKENにとっては過去最多動員のワンマンライブになりました。
 1日目当日は、さい先良い晴天。前日のリハーサル後、そのまま幕張メッセ近くのホテルに宿泊したメンバーは14時頃に会場入りしました。前日のゲネプロも含めていたってリラックスムードのメンバー。幕張メッセの楽屋でも、ツアー中のそれと変わらないリラックスした時間が流れます。ファンから手渡された手紙を読んだりグッズを物色したり、差し入れをつまみ食いしたり・・・。この幕張でのライブは2日間とも楽屋に敏腕マッサージ師が常務してくれており、メンバーは交代でマッサージを受けて恍惚としていました。
 この日、ホテルで目覚めた“藤原”はにわかに脇腹に痛みを感じ、「何でこんな日に腹が痛くなるんだよぉ!!」と嘆き苦しんだそうです。その痛みを盲腸と判断した“藤原”がとった行動は、携帯のi-modeを使って盲腸を調べたそうなのです。対処方法や症状の詳細が知りたかったにもかかわらず検索されるのは盲腸という文字が入った個人の闘病日記などの関係ない情報ばかり・・・。さい先悪い目覚めだったようですが、会場入りする頃にはすっかり痛みもひき万全の状態でライブに臨めたのでした。
 幕張メッセには開場前から物販グッズなどを求めてたくさんのお客さんが駆け付けています。開場1時間前にもなると、エントランスの前にお客さんの長蛇の列ができていました。この『PEGASUS YOU』限定の物販グッズが“チャマ”によってデザインされました。その種類も豊富で、Tシャツ、ウィンドブレーカー、バスタオル(これらには、幕張=千葉ってこともあり千葉県の地形がモチーフとなったグラフィックがデザインされていました)、肩掛け用ポーチ、携帯ストラップ etc… ファンにはたまらない“バンプ”グッズの数々が揃えられていました。
 午後6時過ぎ。いよいよ開演が近付き、会場を埋め尽くした15000人のお客さんもざわめき立ちます。そして会場が暗転。いつもの THE WHOの「クイック・ワン」が流れます。オレンジ色の照明の中にメンバーのシルエットが登場すると、場内から地鳴りのような大歓声が沸き起こります。いよいよメンバーがステージに登場、TOUR FINAL『PEGASUS YOU』の1日目のステージが始まります!! 1曲目は「オンリー ロンリー グローリー」。“藤原”の「ウォー!!」という掛け声にのって“増川”がイントロのギターを掻きむしると場内が明転、まさに怒濤のようにライブが開始されました。 2曲目の「天体観測」のイントロが流れると場内からは更に大きな歓声が上がります。このツアーを通じて更に演奏力/表現力に磨きがかかった「天体観測」は、“バンプ”の代名詞的なヒット曲という枠を超えて会場のお客さんの感動を誘っていました。そして息つく暇もなく「sailing day」の演奏に突入します。この3曲ですでに会場のテンションは最高潮。たくさんのお客さんがエリア外に溢れ出し運び出される程です。そして、4曲目の「車輪の唄」の前奏が奏でられると同時に、ステージ上方から吊るされていた縦長長方形の4枚のビジョンに、それぞれメンバー一人ずつが大きく映し出されました。この演出にさらに大きな歓声が上がる場内。向かって左側のビジョンには気持ち良さそうにベースを爪弾く“チャマ”が、その隣りのビジョンには子気味良くタイトにリズムを刻む“升”が、その隣りには目をつむりながら、激しくも愛おしそうに言葉を紡ぎ歌う“藤原”が、そして向かって右側のビジョンには顔をしかめながら必死にギターをバッキングする“増川”が映し出されています。
 セピア色に映し出されたメンバーに見入る観客。幕張メッセならではの演出にお客さんも酔いしれていました。そして演奏は、ファーストアルバム『FLAME VEIN』に収録されている名曲「くだらない唄」「ノーヒットノーラン」と続きます。既に5年前に発表されている初期の曲にもかかわらず、この幕張のステージでも瑞々しさと輝きを放ちながら奏でられていました。そして「ギルド」。8月にリリースされたニューアルバム『ユグドラシ』に収録されているこの曲はアルバムでも非常に人気が高いナンバー。イントロのギターリフが流れると更に場内がどよめき立ちました。時折その歌詞をライブ用に変えて歌う“藤原”。ライブならではの感情が、本来の歌詞をよりドラマティックに変えて歌わせるのかも知れません。そして、これも初期の名曲「リトルブレイバー」です。これは『MY PEGASUS』でも演奏され続けた曲ですが、イントロのアルペジオギターの演奏に入る前に、“藤原”特有の切なくも美しいコード感でギターが奏でられるライブバージョンでの曲入りでした。「リトルブレイバー」演奏終了後、ステージ中央にフロント3人が集まってカウントをとります。このツアーでバンドグルーブが増し、より一層曲の表現力に磨きがかかって歌詞の持つ壮大さと切実さと美しさをダイナミックに伝えることができるようになった名曲「Ever lasting lie」の演奏です。間奏の“増川”の掻きむしるようなギタープレイに、15000人のお客さんの心が揺さぶられたに違いありません。 そして“藤原”の「新曲やります!」とうMCの後に、12/1にリリースされたシングル「車輪の唄」のカップリングに収録されたナンバー「夢の飼い主」が演奏されました。Final 『PEGASUS YOU』で初めて演奏されたこの曲ですが、ライブならではのバンドグルーブを以てよりダイレクトに熱く響く「夢の飼い主」として演奏されていました。
 演奏終了後、“チャマ”が恥ずかしそうにこうMCしました。「面白い話しを聞かせてあげるね。俺ね、10年くらい前にここ幕張でコックの見習いの仕事をしてたの。ちょうどこの会場からすぐ近くのイタリア料理屋さんでね。そんでね、そん時にホントお世話になった厨房のチーフが今日のステージを観に来てくれてんだよね。俺ホントに嬉しくて恥ずかしくて・・・。チーフ!有り難うございます!!」。このMCに場内から大きな拍手が起こりました。続いて、アップテンポなナンバー「乗車権」と「K」が立て続けに演奏されると場内は再びヒートアップ!無数の拳が掲げられます。そしてBUMP OF CHICKENのメジャーデビュー曲「ダイヤモンド」では、サビの「一つだけ一つだけ〜」という歌詞に合わせて、人差し指を突き上げた拳が高く力強く振り上げられていました。次に演奏されたのは『ユグドラシル』に収録されたナンバー「同じドアをくぐれたら」です。32本をまわりきったツアーで、その後奏でアドリブのジャムグルーブを演奏するようになったこの曲。この日の演奏でも、深く重い演奏でライブバージョンとしての「同じドア〜」を奏でていました。そして、“藤原”がファンには見慣れないアコースティックギターに持ち替えます。そして、手グセの美しいアルぺジオを爪弾いた後、降り始めの雪が一粒ずつ肩に落ちる様を思わせるような、美しく切ないイントロが爪弾かれます。そう、冬のスタンダード「スノースマイル」の演奏です。青を基調とした美しい照明が曲の世界観をよりロマンティックに演出し、会場全体が「スノースマイル」の美しくも切ない情景で塗り詰められた瞬間でした。そして、本編最後の曲は「fire sign」です。ツアーと同様、ブレイクでは全ての照明が照らされて、「ナァ〜ナァ〜!ナナナナナナァ〜ナァ〜!」という大合唱が会場全体を津波のように包み込んでいました。 本編終了後は、これも地鳴りのような手拍子と「アンコール」の大合唱が会場に響き渡ります。再びメンバーがステージに登場するまでは決して鳴り止みそうもない地鳴りです。そしてステージが明転。この大合唱におされて再びメンバーがステージに登場しました。それぞれお気に入りの色のツアーTシャツに着替えての再登場です。“藤原”は、お得意のTシャツのリメイクを怠ってしまったらしく、「首もとが苦しい!!」とTシャツの襟を引っ張って顔をしかめていました。「アンコール有り難う!!歌わせてもらいます!!」。“藤原”の掛け声とともにたおやかなアルペジオが奏でられ「embrace」が演奏されました。この曲だけはほとんどギターを弾かずに、ポケットに両手を突っ込んだりマイクスタンドを握りしめたりする仕草でボーカルに専念して歌い上げる“藤原”。ビジョンに映し出されるその姿が、より凛々しく見える演奏でした。そして1日目ラストに演奏されたのは「ダンデライオン」でした。“藤原”が弾くコミカルかつ軽快なイントロ・ギターリフに合わせて15000人のお客さんがリズミックに飛び上がっていました。
 1日目の『PEGASUS YOU』のステージは、緊張感の中にもたくさんのドラマがちりばめられた情熱的、感動的なライブになりました。ライブ終了後、楽屋でこの日の演奏の反省点を確認し合うメンバー。翌日の2日目のステージへの課題を残しつつも、初の幕張メッセでのワンマンライブを無事に終えた充実感を噛みしめているようでした。その日の打ち上げは、会場から車で10分程走ったところにある焼き肉屋さんにておこなわれました。ツアーの時と同様に「梅干し入りお湯」を特別注文する“藤原”。同時に、翌日のライブに備えて喉を温存した“一言も喋らない療法”を実行していました。いよいよ翌日は、年内国内では最後のライブになります。打ち上げ後は、4人とも会場近くのホテルに戻ってゆっくりと休養をとったようでした。

 迎えた翌日は最終後公演日。この日も、淡々とした時間が楽屋に流れます。その静寂を打ち破るかのように楽屋に押し寄せたのは“チャマ”家族一行です。ご両親、おじいちゃん、おばあちゃん、お姉さん・・・。“チャマ”一家総動員でライブを観に来てくれたようです。しかも、“マモル”お父さんは、『ユグドラシル』の歌詞カード面をモチーフにした飴細工がデコレートされた特大ショートケーキの差し入れを持って来てくれたのです。これには、メンバー、スタッフともに大喜び。ライブ終了後この感慨深いケーキの美味を堪能させてもらったのです。
 この日は最終公演日ということもあり、開場前の、お客さんの入っていない会場にてBUMP OF CHICKENメンバー4人&全てのスタッフによる全員ショット記念撮影がおこなわれました。
 2日目の幕張公演にも、前日同様15000人のファンが詰めかけました。この日はあいにくの雨模様。気温もぐっと下がって肌寒い天気でした。それでも、幕張メッセの会場内は熱気でムンムン。大ステージでのBUMP OF CHICKENの演奏を楽しみにして来たファンがギュウギュウにひしめき合っていました。いよいよ開演の時間です。1日目同様、THE WHOの「クイック・ワン」のSEにのってメンバーがステージに登場すると、会場が雄叫びにも似た大きな歓声で包まれます。そして「オンリー ロンリー グローリー」のイントロが激しくかき鳴らされ、いよいよ最終公演『PEGASUS YOU』2日目のライブがスタートしました。この日の2曲目は、アルバム『jupiter』の1曲目に収録された力強いナンバー「stage of the ground」が演奏されました。“升”のドラムソロから入るライブバージョンでの演奏でしたが、ドラムの力強いリズムにのせて「オイッ!オイッ!」という掛け声が会場に沸き上がっていました。3曲目は「天体観測」です。この日は、この「天体観測」のオープニングと同時にステージ後ろの大ビジョンにメンバーの姿が映し出されました。ヒット曲「天体観測」のイントロにのってメンバーのビジュアルが大きく映し出されると、場内からは更に大きな歓声が上がります。青を基調とした照明に照らし出される「天体観測」の世界観に、会場内の全ての人が酔いしれているように見えました。演奏終了後、早くも“チャマ”が喋ります。「そうだよ!これがライブだよ!!今日はホントに最高だ!どんどん演奏するよ」。そして「ギルド」のイントロが流れます。この日の「ギルド」もライブならではの歌詞に変えて熱唱されていました。続いて、1日目に続きライブバージョンのギター演奏の後に「リトルブレイバー」が演奏されました。途中、「全身全霊の力をリトルブレイバー」という歌詞を、「君にとってその拳(て)がリトルブレイバー」と歌詞がアレンジされて歌われると、より多くの拳が突き上げられていました。そして“藤原”がMCします。「ホントに楽しく歌わせてもらってます。有り難う!!会場全体が見えます。後ろの方の人も手を上げてくれよ!そしたらしっかり見えるんだ!どんどん歌うからしっかり聴いててくれよ。そんで、もし気分が悪くなったら迷わず後ろに避難してくれよ。どこにいても俺等の演奏は届くはずだから。気を失って演奏が聴けなかったってのだけは避けて欲しい。宜しくな!!」。 続いて、これもライブバージョンのジャムセッションでのエンディングがドラマティックな「同じドアをくぐれたら」、そして、BUMP OF CHICKENの初シングル曲「ランプ」が演奏されました。演奏終了後、“藤原”が“増川”を指差して言いました。「“増川”が喋ります!」。不意をつかれてたじろぐ“増川”。「“増川”は昨日の夜から喋ることを考えてたんです。俺の部屋に来て打ち合わせたくらいだから・・・」。どこまで本当かわからない“藤原”の急なMCのフリにすっかり面食らった様子の“増川”でしたが、しどろもどろにMCを始めました。「ホントに有り難う・・・。しかし、よく来たよね!こんなにたくさん!」。MCというよりは、思ったことをそのまま言った感の強い喋りでしたが、会場にはそんな“増川”を愛おしむような笑いが起こっていました。「どんどん演奏するよ。聴いて下さい!!」“増川”の仕切り直しのソリッドなギターアルペジオとともに「乗車権」が演奏されると、会場が再び大きく波打ちます。続いてこれもアップテンポのナンバー「K」の演奏です。ツアー中も、この2曲が立て続けに演奏されると会場内のテンションはいつも最高潮を迎えおり、この日の幕張もそんな最高潮の盛り上がりを見せていました。そして、今回のツアーも含めた全てのライブで、中盤の会場とステージの一体感をマックスで演出し続けてくれた「ダイヤモンド」が演奏されます。この日の「ダイヤモンド」での“藤原”のボーカルは、いつにも増して鬼気迫る迫真の歌声を響かせていました。演奏終了後、“藤原”がやさしくMCしました。「今日でツアーが終わります。この場を借りてお礼を言わせて下さい。このツアーに携わってくれた全てのスタッフ、俺等を盛り上げてくれた家族や友人、そして俺等と一緒にライブをつくりあげてくれた君らお客さんに!!」「そんで、感謝の気持ちを込めて歌います。“embrace”!!」。 そのMCの後に歌われた「embrace」は、より優しく、よりドラマティックに心に響いた気がしました。この日の“藤原”は、想いの多さが言葉になって溢れでてくるようでした。「あぁ・・・。最高だよ。ずっとここで歌ってたいよ。でも、あと2曲になっちまった・・・。ホントに心を込めて歌うよ!!」。溢れる感情を全て歌に詰め込んだ「ハルジオン」の演奏に、会場全体が呼応するかのように更なる一体感を煽っていました。そして本編最後には、「ロストマン」がドラマティックに壮大に演奏されました。1日目同様、地鳴りのような手拍子と「アンコール」の大合唱が会場を包み込みます。メンバーが再登場するまでは、本当に永遠に止むことのないような地鳴り・・・。1日目よりは時間がかかってメンバーがステージに再登場すると、更なる大歓声が沸き起こりました。この日のアンコール1曲目は「スノースマイル」でした。晩夏から始まった今回のツアー。ファイナルのこの日、「スノースマイル」はその季節感もピッタリに演奏されていたのを考えると、季節をまたいで駆け抜けた今回のツアーの長さを実感した「スノースマイル」の演奏だったのです。そして、“チャマ”が感慨深げに喋りました。「このツアーで色んなところで演奏したよ。同じメンバーで同じスタッフで全国をまわったんだけど、どれも全然違ったライブだった。その時その場所でしかできないライブをやってきたんだ。そして今日の最終日。このステージに立って、改めてここで演奏できる奇跡と幸運に感謝してます。ホントに有り難う!!」。続いて“藤原”もMCしました。「ホントに有り難う。俺も、このステージに立てることにホントに感謝してる。そして君らに感謝してます。もう一曲歌わせて下さい。そんで、君らの声も響かせて下さい!」。そうして演奏されたこのツアー最後の「fire sign」でも、この瞬間を共にでき、この瞬間を共に歌える奇跡を噛みしめるかのような大合唱が会場にこだましていました。そして演奏終了後、“藤原”が最後の力をふり絞るように喋りました。「もう声がでないよ。でも、あと1曲だけ歌わせて欲しい・・・。俺、このツアーでわかったことがあるんだよ。俺の歌を聴きたいって人が目の前にいてくれたら歌えるってことを・・・。君らが俺の歌を望んでくれたら歌えるってことを!最後に一呼吸分の力でいいから俺に分けて下さい。そしたら俺は歌えるんです!!」。会場全てのお客さんからもらった「一呼吸分」の力とともに演奏されたツアー最後の曲「ガラスのブルース」は、BUMP OF CHICKEN(弱者の反撃)が誠実に命がけで音楽と向き合ってきた軌跡を讃えるかのように力強く会場全体に鳴り響いていました。全ての演奏が終了し、メンバーが楽屋へと戻って行きます。誰もいなくなったステージに向けて、会場全体から惜しみない拍手が贈られていました。
 全国32公演をまわったツアー『MY PEGASUS』、そして、初の30000人規模のワンマンライブとなったツアー・ファイナル『PEGASUS YOU』。場所も規模も、集まった観客も全て違った一つ一つのライブで、一曲一曲を誠実に大切に演奏し続けて来たBUMP OF CHICKEN。BUMP OF CHICKENの音楽と、それを聴いて何かを感じたリスナーとの一対一の真摯な関係が無限に広がっていく限り、数十万、数百万の個人的なドラマと感動がそれぞれのリスナーの現実の中で生まれ育まれていくことでしょう。
by bumptour | 2005-01-21 20:43 -->  9月から始まったツアー『MY PEGASUS』を、11/20の沖縄公演をもって完走したBUMP OF CHICKEN。去る12/11.12の2日間、「幕張メッセ展示場ホール9.10.11」にてツアーファイナル『PEGASUS YOU』をおこないました。1日15000人、2日間で30000人を動員した、BUMP OF CHICKENにとっては過去最多動員のワンマンライブになりました。
 1日目当日は、さい先良い晴天。前日のリハーサル後、そのまま幕張メッセ近くのホテルに宿泊したメンバーは14時頃に会場入りしました。前日のゲネプロも含めていたってリラックスムードのメンバー。幕張メッセの楽屋でも、ツアー中のそれと変わらないリラックスした時間が流れます。ファンから手渡された手紙を読んだりグッズを物色したり、差し入れをつまみ食いしたり・・・。この幕張でのライブは2日間とも楽屋に敏腕マッサージ師が常務してくれており、メンバーは交代でマッサージを受けて恍惚としていました。
 この日、ホテルで目覚めた“藤原”はにわかに脇腹に痛みを感じ、「何でこんな日に腹が痛くなるんだよぉ!!」と嘆き苦しんだそうです。その痛みを盲腸と判断した“藤原”がとった行動は、携帯のi-modeを使って盲腸を調べたそうなのです。対処方法や症状の詳細が知りたかったにもかかわらず検索されるのは盲腸という文字が入った個人の闘病日記などの関係ない情報ばかり・・・。さい先悪い目覚めだったようですが、会場入りする頃にはすっかり痛みもひき万全の状態でライブに臨めたのでした。
 幕張メッセには開場前から物販グッズなどを求めてたくさんのお客さんが駆け付けています。開場1時間前にもなると、エントランスの前にお客さんの長蛇の列ができていました。この『PEGASUS YOU』限定の物販グッズが“チャマ”によってデザインされました。その種類も豊富で、Tシャツ、ウィンドブレーカー、バスタオル(これらには、幕張=千葉ってこともあり千葉県の地形がモチーフとなったグラフィックがデザインされていました)、肩掛け用ポーチ、携帯ストラップ etc… ファンにはたまらない“バンプ”グッズの数々が揃えられていました。
 午後6時過ぎ。いよいよ開演が近付き、会場を埋め尽くした15000人のお客さんもざわめき立ちます。そして会場が暗転。いつもの THE WHOの「クイック・ワン」が流れます。オレンジ色の照明の中にメンバーのシルエットが登場すると、場内から地鳴りのような大歓声が沸き起こります。いよいよメンバーがステージに登場、TOUR FINAL『PEGASUS YOU』の1日目のステージが始まります!! 1曲目は「オンリー ロンリー グローリー」。“藤原”の「ウォー!!」という掛け声にのって“増川”がイントロのギターを掻きむしると場内が明転、まさに怒濤のようにライブが開始されました。 2曲目の「天体観測」のイントロが流れると場内からは更に大きな歓声が上がります。このツアーを通じて更に演奏力/表現力に磨きがかかった「天体観測」は、“バンプ”の代名詞的なヒット曲という枠を超えて会場のお客さんの感動を誘っていました。そして息つく暇もなく「sailing day」の演奏に突入します。この3曲ですでに会場のテンションは最高潮。たくさんのお客さんがエリア外に溢れ出し運び出される程です。そして、4曲目の「車輪の唄」の前奏が奏でられると同時に、ステージ上方から吊るされていた縦長長方形の4枚のビジョンに、それぞれメンバー一人ずつが大きく映し出されました。この演出にさらに大きな歓声が上がる場内。向かって左側のビジョンには気持ち良さそうにベースを爪弾く“チャマ”が、その隣りのビジョンには子気味良くタイトにリズムを刻む“升”が、その隣りには目をつむりながら、激しくも愛おしそうに言葉を紡ぎ歌う“藤原”が、そして向かって右側のビジョンには顔をしかめながら必死にギターをバッキングする“増川”が映し出されています。
 セピア色に映し出されたメンバーに見入る観客。幕張メッセならではの演出にお客さんも酔いしれていました。そして演奏は、ファーストアルバム『FLAME VEIN』に収録されている名曲「くだらない唄」「ノーヒットノーラン」と続きます。既に5年前に発表されている初期の曲にもかかわらず、この幕張のステージでも瑞々しさと輝きを放ちながら奏でられていました。そして「ギルド」。8月にリリースされたニューアルバム『ユグドラシ』に収録されているこの曲はアルバムでも非常に人気が高いナンバー。イントロのギターリフが流れると更に場内がどよめき立ちました。時折その歌詞をライブ用に変えて歌う“藤原”。ライブならではの感情が、本来の歌詞をよりドラマティックに変えて歌わせるのかも知れません。そして、これも初期の名曲「リトルブレイバー」です。これは『MY PEGASUS』でも演奏され続けた曲ですが、イントロのアルペジオギターの演奏に入る前に、“藤原”特有の切なくも美しいコード感でギターが奏でられるライブバージョンでの曲入りでした。「リトルブレイバー」演奏終了後、ステージ中央にフロント3人が集まってカウントをとります。このツアーでバンドグルーブが増し、より一層曲の表現力に磨きがかかって歌詞の持つ壮大さと切実さと美しさをダイナミックに伝えることができるようになった名曲「Ever lasting lie」の演奏です。間奏の“増川”の掻きむしるようなギタープレイに、15000人のお客さんの心が揺さぶられたに違いありません。 そして“藤原”の「新曲やります!」とうMCの後に、12/1にリリースされたシングル「車輪の唄」のカップリングに収録されたナンバー「夢の飼い主」が演奏されました。Final 『PEGASUS YOU』で初めて演奏されたこの曲ですが、ライブならではのバンドグルーブを以てよりダイレクトに熱く響く「夢の飼い主」として演奏されていました。
 演奏終了後、“チャマ”が恥ずかしそうにこうMCしました。「面白い話しを聞かせてあげるね。俺ね、10年くらい前にここ幕張でコックの見習いの仕事をしてたの。ちょうどこの会場からすぐ近くのイタリア料理屋さんでね。そんでね、そん時にホントお世話になった厨房のチーフが今日のステージを観に来てくれてんだよね。俺ホントに嬉しくて恥ずかしくて・・・。チーフ!有り難うございます!!」。このMCに場内から大きな拍手が起こりました。続いて、アップテンポなナンバー「乗車権」と「K」が立て続けに演奏されると場内は再びヒートアップ!無数の拳が掲げられます。そしてBUMP OF CHICKENのメジャーデビュー曲「ダイヤモンド」では、サビの「一つだけ一つだけ〜」という歌詞に合わせて、人差し指を突き上げた拳が高く力強く振り上げられていました。次に演奏されたのは『ユグドラシル』に収録されたナンバー「同じドアをくぐれたら」です。32本をまわりきったツアーで、その後奏でアドリブのジャムグルーブを演奏するようになったこの曲。この日の演奏でも、深く重い演奏でライブバージョンとしての「同じドア〜」を奏でていました。そして、“藤原”がファンには見慣れないアコースティックギターに持ち替えます。そして、手グセの美しいアルぺジオを爪弾いた後、降り始めの雪が一粒ずつ肩に落ちる様を思わせるような、美しく切ないイントロが爪弾かれます。そう、冬のスタンダード「スノースマイル」の演奏です。青を基調とした美しい照明が曲の世界観をよりロマンティックに演出し、会場全体が「スノースマイル」の美しくも切ない情景で塗り詰められた瞬間でした。そして、本編最後の曲は「fire sign」です。ツアーと同様、ブレイクでは全ての照明が照らされて、「ナァ〜ナァ〜!ナナナナナナァ〜ナァ〜!」という大合唱が会場全体を津波のように包み込んでいました。 本編終了後は、これも地鳴りのような手拍子と「アンコール」の大合唱が会場に響き渡ります。再びメンバーがステージに登場するまでは決して鳴り止みそうもない地鳴りです。そしてステージが明転。この大合唱におされて再びメンバーがステージに登場しました。それぞれお気に入りの色のツアーTシャツに着替えての再登場です。“藤原”は、お得意のTシャツのリメイクを怠ってしまったらしく、「首もとが苦しい!!」とTシャツの襟を引っ張って顔をしかめていました。「アンコール有り難う!!歌わせてもらいます!!」。“藤原”の掛け声とともにたおやかなアルペジオが奏でられ「embrace」が演奏されました。この曲だけはほとんどギターを弾かずに、ポケットに両手を突っ込んだりマイクスタンドを握りしめたりする仕草でボーカルに専念して歌い上げる“藤原”。ビジョンに映し出されるその姿が、より凛々しく見える演奏でした。そして1日目ラストに演奏されたのは「ダンデライオン」でした。“藤原”が弾くコミカルかつ軽快なイントロ・ギターリフに合わせて15000人のお客さんがリズミックに飛び上がっていました。
 1日目の『PEGASUS YOU』のステージは、緊張感の中にもたくさんのドラマがちりばめられた情熱的、感動的なライブになりました。ライブ終了後、楽屋でこの日の演奏の反省点を確認し合うメンバー。翌日の2日目のステージへの課題を残しつつも、初の幕張メッセでのワンマンライブを無事に終えた充実感を噛みしめているようでした。その日の打ち上げは、会場から車で10分程走ったところにある焼き肉屋さんにておこなわれました。ツアーの時と同様に「梅干し入りお湯」を特別注文する“藤原”。同時に、翌日のライブに備えて喉を温存した“一言も喋らない療法”を実行していました。いよいよ翌日は、年内国内では最後のライブになります。打ち上げ後は、4人とも会場近くのホテルに戻ってゆっくりと休養をとったようでした。

 迎えた翌日は最終後公演日。この日も、淡々とした時間が楽屋に流れます。その静寂を打ち破るかのように楽屋に押し寄せたのは“チャマ”家族一行です。ご両親、おじいちゃん、おばあちゃん、お姉さん・・・。“チャマ”一家総動員でライブを観に来てくれたようです。しかも、“マモル”お父さんは、『ユグドラシル』の歌詞カード面をモチーフにした飴細工がデコレートされた特大ショートケーキの差し入れを持って来てくれたのです。これには、メンバー、スタッフともに大喜び。ライブ終了後この感慨深いケーキの美味を堪能させてもらったのです。
 この日は最終公演日ということもあり、開場前の、お客さんの入っていない会場にてBUMP OF CHICKENメンバー4人&全てのスタッフによる全員ショット記念撮影がおこなわれました。
 2日目の幕張公演にも、前日同様15000人のファンが詰めかけました。この日はあいにくの雨模様。気温もぐっと下がって肌寒い天気でした。それでも、幕張メッセの会場内は熱気でムンムン。大ステージでのBUMP OF CHICKENの演奏を楽しみにして来たファンがギュウギュウにひしめき合っていました。いよいよ開演の時間です。1日目同様、THE WHOの「クイック・ワン」のSEにのってメンバーがステージに登場すると、会場が雄叫びにも似た大きな歓声で包まれます。そして「オンリー ロンリー グローリー」のイントロが激しくかき鳴らされ、いよいよ最終公演『PEGASUS YOU』2日目のライブがスタートしました。この日の2曲目は、アルバム『jupiter』の1曲目に収録された力強いナンバー「stage of the ground」が演奏されました。“升”のドラムソロから入るライブバージョンでの演奏でしたが、ドラムの力強いリズムにのせて「オイッ!オイッ!」という掛け声が会場に沸き上がっていました。3曲目は「天体観測」です。この日は、この「天体観測」のオープニングと同時にステージ後ろの大ビジョンにメンバーの姿が映し出されました。ヒット曲「天体観測」のイントロにのってメンバーのビジュアルが大きく映し出されると、場内からは更に大きな歓声が上がります。青を基調とした照明に照らし出される「天体観測」の世界観に、会場内の全ての人が酔いしれているように見えました。演奏終了後、早くも“チャマ”が喋ります。「そうだよ!これがライブだよ!!今日はホントに最高だ!どんどん演奏するよ」。そして「ギルド」のイントロが流れます。この日の「ギルド」もライブならではの歌詞に変えて熱唱されていました。続いて、1日目に続きライブバージョンのギター演奏の後に「リトルブレイバー」が演奏されました。途中、「全身全霊の力をリトルブレイバー」という歌詞を、「君にとってその拳(て)がリトルブレイバー」と歌詞がアレンジされて歌われると、より多くの拳が突き上げられていました。そして“藤原”がMCします。「ホントに楽しく歌わせてもらってます。有り難う!!会場全体が見えます。後ろの方の人も手を上げてくれよ!そしたらしっかり見えるんだ!どんどん歌うからしっかり聴いててくれよ。そんで、もし気分が悪くなったら迷わず後ろに避難してくれよ。どこにいても俺等の演奏は届くはずだから。気を失って演奏が聴けなかったってのだけは避けて欲しい。宜しくな!!」。 続いて、これもライブバージョンのジャムセッションでのエンディングがドラマティックな「同じドアをくぐれたら」、そして、BUMP OF CHICKENの初シングル曲「ランプ」が演奏されました。演奏終了後、“藤原”が“増川”を指差して言いました。「“増川”が喋ります!」。不意をつかれてたじろぐ“増川”。「“増川”は昨日の夜から喋ることを考えてたんです。俺の部屋に来て打ち合わせたくらいだから・・・」。どこまで本当かわからない“藤原”の急なMCのフリにすっかり面食らった様子の“増川”でしたが、しどろもどろにMCを始めました。「ホントに有り難う・・・。しかし、よく来たよね!こんなにたくさん!」。MCというよりは、思ったことをそのまま言った感の強い喋りでしたが、会場にはそんな“増川”を愛おしむような笑いが起こっていました。「どんどん演奏するよ。聴いて下さい!!」“増川”の仕切り直しのソリッドなギターアルペジオとともに「乗車権」が演奏されると、会場が再び大きく波打ちます。続いてこれもアップテンポのナンバー「K」の演奏です。ツアー中も、この2曲が立て続けに演奏されると会場内のテンションはいつも最高潮を迎えおり、この日の幕張もそんな最高潮の盛り上がりを見せていました。そして、今回のツアーも含めた全てのライブで、中盤の会場とステージの一体感をマックスで演出し続けてくれた「ダイヤモンド」が演奏されます。この日の「ダイヤモンド」での“藤原”のボーカルは、いつにも増して鬼気迫る迫真の歌声を響かせていました。演奏終了後、“藤原”がやさしくMCしました。「今日でツアーが終わります。この場を借りてお礼を言わせて下さい。このツアーに携わってくれた全てのスタッフ、俺等を盛り上げてくれた家族や友人、そして俺等と一緒にライブをつくりあげてくれた君らお客さんに!!」「そんで、感謝の気持ちを込めて歌います。“embrace”!!」。 そのMCの後に歌われた「embrace」は、より優しく、よりドラマティックに心に響いた気がしました。この日の“藤原”は、想いの多さが言葉になって溢れでてくるようでした。「あぁ・・・。最高だよ。ずっとここで歌ってたいよ。でも、あと2曲になっちまった・・・。ホントに心を込めて歌うよ!!」。溢れる感情を全て歌に詰め込んだ「ハルジオン」の演奏に、会場全体が呼応するかのように更なる一体感を煽っていました。そして本編最後には、「ロストマン」がドラマティックに壮大に演奏されました。1日目同様、地鳴りのような手拍子と「アンコール」の大合唱が会場を包み込みます。メンバーが再登場するまでは、本当に永遠に止むことのないような地鳴り・・・。1日目よりは時間がかかってメンバーがステージに再登場すると、更なる大歓声が沸き起こりました。この日のアンコール1曲目は「スノースマイル」でした。晩夏から始まった今回のツアー。ファイナルのこの日、「スノースマイル」はその季節感もピッタリに演奏されていたのを考えると、季節をまたいで駆け抜けた今回のツアーの長さを実感した「スノースマイル」の演奏だったのです。そして、“チャマ”が感慨深げに喋りました。「このツアーで色んなところで演奏したよ。同じメンバーで同じスタッフで全国をまわったんだけど、どれも全然違ったライブだった。その時その場所でしかできないライブをやってきたんだ。そして今日の最終日。このステージに立って、改めてここで演奏できる奇跡と幸運に感謝してます。ホントに有り難う!!」。続いて“藤原”もMCしました。「ホントに有り難う。俺も、このステージに立てることにホントに感謝してる。そして君らに感謝してます。もう一曲歌わせて下さい。そんで、君らの声も響かせて下さい!」。そうして演奏されたこのツアー最後の「fire sign」でも、この瞬間を共にでき、この瞬間を共に歌える奇跡を噛みしめるかのような大合唱が会場にこだましていました。そして演奏終了後、“藤原”が最後の力をふり絞るように喋りました。「もう声がでないよ。でも、あと1曲だけ歌わせて欲しい・・・。俺、このツアーでわかったことがあるんだよ。俺の歌を聴きたいって人が目の前にいてくれたら歌えるってことを・・・。君らが俺の歌を望んでくれたら歌えるってことを!最後に一呼吸分の力でいいから俺に分けて下さい。そしたら俺は歌えるんです!!」。会場全てのお客さんからもらった「一呼吸分」の力とともに演奏されたツアー最後の曲「ガラスのブルース」は、BUMP OF CHICKEN(弱者の反撃)が誠実に命がけで音楽と向き合ってきた軌跡を讃えるかのように力強く会場全体に鳴り響いていました。全ての演奏が終了し、メンバーが楽屋へと戻って行きます。誰もいなくなったステージに向けて、会場全体から惜しみない拍手が贈られていました。
 全国32公演をまわったツアー『MY PEGASUS』、そして、初の30000人規模のワンマンライブとなったツアー・ファイナル『PEGASUS YOU』。場所も規模も、集まった観客も全て違った一つ一つのライブで、一曲一曲を誠実に大切に演奏し続けて来たBUMP OF CHICKEN。BUMP OF CHICKENの音楽と、それを聴いて何かを感じたリスナーとの一対一の真摯な関係が無限に広がっていく限り、数十万、数百万の個人的なドラマと感動がそれぞれのリスナーの現実の中で生まれ育まれていくことでしょう。
by bumptour | 2005-01-21 20:43 -->-->